琉球大学工学部工学科 神谷大介 准教授と八千代エンジニヤリング株式会社とが共同研究として取り組んできたキャンパスMaaS※が、国土交通省の実施する令和6年度「共創・MaaS実証プロジェクト」の【共創モデル実証運行事業】に採択されました。これにより、導入に向けた大規模な実証実験を2024年11月25日(月)~12月20日(金)の平日20日間にて実施いたします。
本事業は、沖縄県や地元3自治体(宜野湾市、西原町、中城村)、モノレールやバス事業者と連携し、琉球大学においてマイカー入構許可を受けている学生、約200名のモニターによる大規模な実証実験を行い、施策効果の検証や今後の導入に向けた技術課題を明らかにいたします。
キャンパスMaaSの実現することで、マイカー利用の抑制と公共交通利用を促進し、琉球大学周辺における交通集中の緩和を目指してまいります。
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※キャンパスMaaS:マイカーを所有しなくても充実したキャンパスライフが実現できるモビリティサービスのこと
本実証実験の特徴
琉球大学及び八千代エンジニヤリング㈱において2018年から開始したキャンパス交通の実態調査や対策検討、MaaSを一部のみ取り込んだ実証実験の結果やそこで得られた課題を踏まえて、本実証実験では以下の点に留意しています。
1.自治体や交通事業者との連携
キャンパスMaaSは、沖縄県がアドバイザーとなり琉球大学と八千代エンジニヤリング㈱の共同研究という産学官連携で取り組んできました。今回採択された【共創モデル実証運行事業】では、琉大周辺の3自治体(宜野湾市、西原町、中城村)や沖縄都市モノレール株式会社や株式会社琉球バス交通、那覇バス株式会社、沖縄ICカード株式会社など多くの関係者との連携で実証実験を行い、データ連携の仕組みや交通集中による渋滞対策に着目したキャンパスMaaSを地域公共交通の確保や経済的な活性化などの地域課題解決型のMaaSへと発展させていくトリガーと位置付けています。
2.公共交通の利用環境が異なる学生モニターによる施策効果の検証
これまでの実証実験は、工学部に所属し交通分野の研究に携わる20名程度のモニターによる実証実験で公共交通利用促進に対する関心度が高い対象者だったため、マイカーからバスへの転換割合が高い傾向を示している可能性があると考えられます。また、モニターが少ないために居住地や最寄りバス停までの距離に偏りが生じてしまい、大学全体としての評価が難しくなります。今回の実証実験では、工学部以外の学生も対象とした約200名のモニターによる4週間の実証実験を行い、より適切に大学全体におけるキャンパスMaaSの効果を検証する社会実証を行います。
本キャンパスMaaSの実証実験では専用のアプリを用意し、マイカー利用者が通学手段として公共交通を候補にする機会を増やすと同時に、実際に公共交通を利用した場合にはシステムで実績を確認した上で交通系ICカードであるOKICAポイントとしてインセンティブを付与する仕組みを構築します。
バス利用は琉球大学に乗り入れている路線のみの利用では利用エリアが限定されますが、他のバス路線やモノレールと乗り継ぐことでより遠方からでも公共交通利用を利用できる環境が整います。そこで、公共交通を乗り継いで利用した場合にはインセンティブに差をつけるなどの工夫をして公共交通利用促進の効果を検証します。
八千代エンジニヤリング㈱のサービスであるAI交通量調査「TRAVIC」を使用し、マイカー利用の適正化に向けて、マイカー利用を中止したのかを確認する仕組みやマイカー利用の抑制によるキャンパス周辺道路の混雑状況をモニタリングする手法についても試行します。
キャンパスMaaSを持続可能にするためのエコノミーモデル
キャンパスMaaSを持続可能な取り組みにするために必要となるのがエコノミーモデルです。
大学では駐車場利用料の徴収を検討していますが、その原資をインセンティブやキャンパスの交通システムに活用することで、キャンパスMaaSを持続可能なシステムができるか検証します。なお、前回の実証実験の結果を踏まえて今回はラストマイル手段としての自転車利用は想定せず、既存のバス路線やモノレールの利用のみを対象としています。
キャンパスMaaSが目指すエコノミーモデル