お知らせ

理学部 中川助教がエコテックグランプリで企業賞(損保ジャパン賞、三井化学賞)を受賞


~2020年、琉球大学は開学70周年を迎えます。~
   Island wisdom, for the world, for the future.  


 令和2年10月3日(土)、本学理学部海洋自然科学科化学系の中川鉄水 助教が、第1回エコテックグランプリで企業賞である損保ジャパン賞と三井化学賞を受賞しました。
 エコテックグランプリは、大学や研究機関、企業研究所の科学技術を実用化やビジネスへの発展に資することを目的とした、株式会社リバネス主催のプログラムであり、第1回目となった今回は、リアルテック領域(ものづくり、ロボティクス、モビリティ、IoT、人工知能、素材、エネルギー等)を対象としたビシネスプランコンテストが開催されました。
 エコテクノロジーに関係のある349チームの中から選出されたファイナリスト12チームが最終選考に参加し、7分間プレゼン(質疑応答7分間)を行い、ファイナリストのうち、「新規性」「実現可能性」「世界を変えそうか」「パッション」の4つの観点から、主催者のリバネスとパートナー企業との合議によって最優秀賞(1チーム)が、パートナー企業が独自の観点で企業賞(8チーム)が贈られます。
 本学からは中川助教が代表であるチーム「FCAB」が「軽量・小型・安定なアンモニアボランで水素社会へ!」というタイトルでファイナリストに選出され、最終選考では、水素をコンパクトに貯められて、手軽に水素を取り出せるアンモニアボラン(NH3BH3)を使って燃料電池を発電して給電するシステムの開発状況とビジネスプランを説明・実演しました。今回の発表は、中川助教が採択された「沖縄科学技術イノベーションシステム構築事業」とNEDO「燃料電池等利用の飛躍的拡大に向けた共通課題解決型産学官連携研究開発事業」の研究内容やビジネスプランをベースとしており、2018年琉球テックプランターで特別賞を受賞した時に比べてさらに進歩したことが評価され、今回の受賞に至りました。授賞式では審査委員から、受賞の決め手は「水素社会を見据えた防災・減災に役立つような技術である」(損保ジャパン賞)、「化けたら面白い技術である」(三井化学賞)というコメントを頂きました。また、2社からの企業賞を受賞したのはグランプリとなったチームと本チームの2チームのみでした。

【中川助教のコメント】
 今回のダブル受賞は本プロジェクトを支えてくださった皆様のお蔭であると感じています。これを弾みにして、先日採択されたNEDO事業を成功させるべく邁進してまいります。


表彰の様子 ※写真提供:ミヨグラフィ
左から審査員(損害保険ジャパン株式会社)、中川助教、審査員(三井化学株式会社)



賞状

<参考>
1、エコテックグランプリについて

場所:センター・オブ・ガレージ(〒130-0003 東京都墨田区横川1丁目16−3)
開催日時:2020年10月3日(土)13:00-19:00
参加対象:クローズド・事前登録制にて開催(エントリーチーム、パートナー企業、プロフェッショナルサポーター)
株式会社リバネス 第一回エコテックグランプリ速報 

2、ベースとなった研究プロジェクトについて

①沖縄科学技術イノベーションシステム構築事業
委託元:沖縄県(沖縄科学技術振興センターにより運営)
プロジェクト名:「軽量・安定・高容量アンモニアボラン燃料電池の開発」
研究代表者:中川 鉄水(琉球大学 理学部 海洋自然科学科化学系 助教)
実施年度:2016-2019年度
採択数:8件(採択率非公開)
プロジェクトの概要:
水素貯蔵材料アンモニアボランを使った携帯用小型給電デバイスを開発することを目標としました。特にアンモニアボランから水素を取り出す方法、アンモニアボランを作る方法と水素を入れ直す方法についての課題の解決に取り組み、装置の試作品を製作しました。プロジェクト終了後は、教育用水素発生キットの発売と、小型給電デバイスの発売に向けて更なる研究開発を行っています。

②燃料電池等利用の飛躍的拡大に向けた共通課題解決型産学官連携研究開発事業
プロジェクト名:「移動式FC用水素源アンモニアボランの社会実装に向けた先端技術開発」(水素貯蔵分野)
研究代表者:中川 鉄水(琉球大学 理学部 海洋自然科学科化学系 助教)
実施年度:2020-2024年度(予定)
採択率:65%(46/71件、うち水素貯蔵分野の採択数4件)
プロジェクトの概要:
水素貯蔵材料アンモニアボランを使った1kW級給電デバイス用水素供給システムの製品化を目標とし、アンモニアボランの安価な合成方法の開発と水素発生・供給方法の開発を行います。

【研究開発に参画する実施者、協力する関与者の所属機関】
琉球大学、ハイドロラボ株式会社、株式会社ケミックス、崇城大学、株式会社ピューズ、NTI株式会社、昭和飛行機工業株式会社、アイ・エレクトロライトなど