研究成果

宮古島沖で発⾒、新称コモレビアゴアマダイ 〜宮古島沖から採集された⽇本初記録種に福島らが命名〜 目標14:海の豊かさを守ろう

 

     琉球大学大学院理工学研究科博士前期課程の福島 周大学院生、同大学理学部の千徳 明日香准教授、小枝 圭太助教らによる研究成果が、魚類学の学術雑誌「魚類学雑誌」誌に掲載されました。

    <発表のポイント>
    ◆宮古島沖の水深約105 mから、ドレッジ(小型底曳き網)を用いた生物採集調査により日本初記録のアゴアマダイ属魚類Opistognathus erdmanniを採集しました。
    ◆本種は2023年にミャンマー沖から報告され、本標本は世界で2例目、太平洋からは初の記録となります。
    ◆本種にみられるやや緑色がかった横帯と背鰭縁辺部の黄色域がそれぞれ樹木と森林の木漏れ日を連想させることから標準和名「コモレビアゴアマダイ」を提唱しました。

     

     

    <発表概要>
     琉球大学大学院理工学研究科博士前期課程の福島 周 大学院生、同大学理学部の千徳 明日香 准教授、小枝 圭太 助教により、日本初記録のアゴアマダイ科魚類 Opistognathus erdmanniを報告し、新標準和名「コモレビアゴアマダイ」を命名しました。本種は、2025年5月に宮古島沖で行われた長崎大学附属練習船「長崎丸」による生物採集調査において、ドレッジ(小型底曳き網)によって採集されました。これまで本種は、2023年にインド洋のアンダマン海(ミャンマー沖)から得られた標本に基づいて新種記載されて以降、報告がありませんでした。今回の宮古島からの発見は、本種にとって世界で2例目の記録です。アゴアマダイの仲間は、海底の砂地に巣穴を作って生活する習性があり、通常の潜水調査などでは発見が非常に困難です。本種に提唱した新標準和名「コモレビアゴアマダイ」は、やや緑色がかった横帯と背鰭縁辺部の黄色域がそれぞれ樹木と森林の木漏れ日を連想させることから由来しています。

    <研究内容>
     アゴアマダイの仲間は海底の砂礫地に自身の顎を使って巣穴を作る習性があり、ジョーフィッシュとも呼ばれています。通常のサンゴ礁を対象とした潜水調査などでは見過ごされやすく、採集が難しいグループです。今回の長崎丸による琉球大学理学部を対象とした実習科目「乗船実習I」の過程で生物採集調査を実施したところ、宮古島沖からアゴアマダイ属の標本が採集されました。この標本と先行研究で示されたアゴアマダイ属魚類との比較を慎重におこなった結果、この標本は2023年に新種記載された「Opistognathus erdmanni」の特徴と一致し、本種であると同定されました。これまで本種は、インド洋のアンダマン海(ミャンマー沖)の水深50〜55mから得られた5個体の標本のみが知られていました。今回の発見は世界で2例目となる極めて貴重な記録であり、日本および太平洋における初記録となりました。本種の正式な日本語名称(標準和名)を検討するのに際し、本標本にみられる背鰭の暗色斑紋から下方に延長するやや緑色がかった横帯と、背鰭縁辺部の黄色域がそれぞれ樹木と森林の木漏れ日を連想させることから「コモレビアゴアマダイ」が命名されました。

    研究者(福島 周)からのコメント
     今回の発見は、世界で2例目という科学的な重要性はもちろんですが、私個人としては、この美しい魚に世界で初めての標準和名(日本語の名前)を贈ることができたことを非常に光栄に感じています。この『コモレビ』という名前を通して、多くの方に、まだまだ謎が残されている沖縄の海について興味を持っていただけたら嬉しいです。


    図1 本研究で採集されたコモレビアゴアマダイOpistognathus erdmanni。

    <論文情報>
    (1)    論文タイトル:宮古島沖から得られた日本初記録のコモレビアゴアマダイ(新称)Opistognathus erdmanni(アゴアマダイ科)
    (2)    雑誌名:魚類学雑誌
    (3)    著者:福島周(Fukushima Shu)・千徳明日香(Sentoku Asuka)・小枝圭太(Koeda Keita)
    (4)    DOI番号:10.11369/jji.26-003
    (5)    アブストラクトURL:https://doi.org/10.11369/jji.26-003