~2020年、琉球大学は開学70周年を迎えます。~
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令和2年6月27日、本学国際地域創造学部経営プログラムの松平好人准教授が、2020年度日本地域政策学会学術賞(奨励賞)を受賞しました。
日本地域政策学会は、地域政策や地域づくりの理論と実践の統合を目指して、大学研究者、研究機関・自治体等職員、NPO等の団体や個人が垣根を越えて集い、学び合う場として活動しており、学術賞(奨励賞)は、機関誌「日本地域政策研究」に掲載の論説又は研究ノートのうち、地域政策研究の発展に寄与したと認められるものの著者(筆頭)に授与されるものです。
今回受賞の対象となった研究ノート「大阪市による中小企業に対するイノベーション促進政策の効果 -市場志向と情報的資源の視角から-」に関する研究は、「自治体による中小企業のイノベーション(新規事業)促進政策の効果を可視化したい」という松平准教授の思いから取り組まれたもので、地域中小企業の新規事業を支援する大阪市の「大阪トップランナー育成事業(TR事業)」の効果を明らかにする実証研究です。こうした研究は、納税者への説明及び自治体の政策評価という観点から、必要性が高いのにもかかわらず、現在まで研究例が極めて乏しいというのが現状です。そこで、イノベーション促進政策の効果についての理論的フレームワークが未構築であることから、政策の効果を明らかにするため、「市場志向」及び「情報的資源」という二つの研究フレームワークを用いて、TR事業認定の中小企業のプロジェクトを研究対象とし、質問票調査・インタビュー調査内容を分析するという調査手法が用いられました。
分析の結果、地域中小企業に対して、第一に、TR事業は市場志向を定着させ、市場志向的組織へと変化を促す効果、第二に、支援の専門家による当該企業にとって意味のある企業特異性を有する情報的資源の提供により、国内の販路開拓やプロモーション機会の増加などの効果があることが確認されました。その上で、自治体のイノベーション促進政策によって、中小企業における市場志向の醸成及び情報的資源の獲得という中間成果を生み、売上や引き合い・問い合わせなどの最終成果につながるとの因果関係についての仮説を構築するに至りました。
松平准教授のコメント:「今回の受賞により、険しい道のりに一条の光明が差しました。これをいさみとし、学術研究の推進による社会貢献を果たすべく、不断の精進を続ける所存であります。」