研究成果

琉球大学の研究者も参加した国際海洋底調査において台湾領海で初のガスハイドレートの存在を実証

平成 30 年6月29日
琉球大学

琉球大学の研究者も参加した国際海洋底調査において
台湾領海で初のガスハイドレートの存在を実証

平成 30 年 6 月 21 日、台湾‐フランス合同海洋調査「EAGER 航海」において、台湾領海では初めてとなるガスハイドレートが発見されました。本航海には、琉球大学理学部物質地球科学科の新城竜一教授も参加しており、台湾での地球科学史上に残る歴史的発見に際して、琉球大学の研究者も貢献しました。
台湾では約 20 年前から南西の領海域において、海洋地球物理学的探査からガスハイドレートの存在が示唆されていました。埋蔵量は日本のそれに比べて 10 倍と試算する報告もあります。しかし、数々の探査にもかかわらず、実際にガスハイドレートが採取されたことはありませんでした。今回の発見お願い申し上げます。

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琉球大学の研究者も参加した国際海洋底調査において、
台湾領海で初のガスハイドレートの存在を実証

平成 30 年 6 月 25 日

調査航海は「EAGER 航海」というニックネームが付けられました。EAGER の由来は、Extremeevents Archived in marine GEological Records off Taiwan というタイトルの研究プロポーザルからきています。フランスの海洋調査船「Marion Dufresne 号」を使った調査です。主に台湾とフランスの研究チームから構成されています。日本からは、琉球大学理学部の研究者と大学院生の 2 名が参加しています。2018 年 6 月 5 日、台湾の基隆港を出港し、調査終了後は 6 月 26 日夕刻に台湾の高雄へ寄港します。6 月 27 日には、寄港先の高雄にて緊急の記者会見が行われる予定です。

今回、同航海において台湾の南西沖で初めてとなるガスハイドレートの発見がありました。同海域では約 20 年も前からガスハイドレートの存在の可能性が指摘されていました。しかし、これまで多くの調査航海で探索されてきましたが、物的証拠がなく実証できていませんでした。今回、ついにそのガスハイドレートの存在が初めて確認されました。

本航海では、錘をつけた直径 25cm ほどの筒状のパイプ(コアと呼ばれる)を海底面へ突き刺して、海底表層の堆積物層を採取する調査を行っています。6 月 20 日深夜から 21 日明け方にかけて、コアへサンプルを採取した後に船上へ上がってきたコアの中身の確認をしていたところ、コア・キャッチャーと呼ばれる、最初に海底に突き刺さる先端部に白い物体が詰まっていました。取り出してみるとブクブクと泡立っています。点火してみたところ、勢いよく燃え上がりました。台湾海域で初となるガスハイドレートの発見です。船上は大興奮。台湾の科学者達にとって長年の悲願が叶った瞬間となりました。

さらに、大規模な火山活動を示唆する厚い火山灰層も見つかりました。これも同海域では初となる発見です。約 10cm の火山灰層の厚さは、過去に非常に大きな噴火があったことだけでなく、その供給源が近くにあることも示しています。今回の発見は、台湾の防災対策に有益な科学的知見となります。

EAGER 航海は津波や台風、地震など南琉球弧から台湾にかけて、過去に起こったさまざまな自然現象の発生頻度を周辺海域の堆積物の層に残された証拠から解明するのが目的の一つです。航海には、琉球大学理学部物質地球科学科の新城竜一教授と大学院生(相澤正隆)の 2 名が参加しています。

先島諸島では 1771 年に「八重山津波」によって甚大な被害がありました。津波の規模は非常に大きく、遡上高は 30m におよぶと推定されています。1771 年以前の津波の周期性を明らかにすることは、今後の防災・減災につながる点で非常に重要です。
一方で、台湾南方沖でのガスハイドレートの探査も EAGER 航海の主目的の一つでした。