琉球大学(学長 喜納 育江)、伊江村(村長 名城 政英)、一般社団法人e-Donuts研究会(代表理事 織山 純)の3機関は、液化天然ガス(LNG)の気化で生じる冷熱*注1、すなわちLNG冷排熱*注2の利活用を軸とした地域課題の解決および持続可能な地域モデルの創出に関する取り組みを推進するため、令和8年2月20日に覚書を締結しましたのでお知らせいたします。
本覚書は、LNG冷排熱というこれまで使われてこなかったエネルギー源を活用することで、離島である伊江村のエネルギー、社会基盤、新産業創出といった社会課題に新たな解決策をもたらすことを目的に結ばれたものです。琉球大学は、解決したい課題を有する自治体(伊江村)と冷熱利用にかかる技術を持つ機関(e-Donuts研究会)の橋渡し役となり、工学部や農学部の研究者による実証を通してLNG冷排熱を利活用するための基盤づくりに取り組みます。

署名された協定書を持つ3機関の代表者(左から喜納学長、名城村長、織山代表理事)
伊江村 名城村長からのコメント
「私たちの伊江村は、豊かな自然と農業や観光を中心とした力強い産業に支えられてきました。しかしながら全国的な課題であるエネルギーコストの高騰や気候変動、さらには離島特有の防災体制の強化など、割けては通れない構造的な課題にも直面しています。こうした中、LNG冷排熱というこれまで未利用であった革新的なエネルギーを軸に、琉球大学の高度な学術的知見と、e-Donuts研究会の産学官民をつなぐ強力なネットワーク、そして私たち伊江村のフィールドを融合させる本事業は、まさに次世代の離島モデルを創出する画期的な取り組みであると確信しております」
e-Donuts研究会 織山代表理事からのコメント
「冷熱と聞くと、専門的でどこか冷たい話のように感じられるかも知れません。しかし私たちが目指しているのは、とても温かい未来です。これまで十分に活かされてこなかったLNG冷排熱を地域の資源として再定義する、そしてそれを、農業、食品加工、防災、教育、人材育成へとつなげていく。これは単なるエネルギー活用ではありません。温度という見えない資源を、地域の未来資源へと変える取り組みです。e-Donuts研究会としては議論を深め、専門家をつなぎ、実装まで責任を持つことを大切に、伊江村、琉球大学とともに歩んでまいります」
琉球大学 喜納学長コメント
「琉球大学は設立当初から、地域貢献大学として地域からの期待に応える努力をしてまいりました。亜熱帯の島々からなる沖縄の良いところを活かし、沖縄の持つ課題に向き合っていくことは、琉球大学が掲げている”Island Wisdom, for the World, for the Future(島の英知を世界へ、未来へ)” という標語にも表れております。今回のプロジェクトは、冷熱という普段の生活ではなじみのないエネルギー源を、地域の社会で実際に活用できるようにする挑戦的な試みです。エネルギー、システム、電力という川上の課題を担当する工学部、食品産業、農林水産業、地域経済という川下の課題を担当する農学部をはじめ、総合大学である強みを活かしてプロジェクトに取り組んでまいります」
注1 冷熱: 常温よりも冷たい温度のこと。物を温めたり冷やしたりするにはエネルギーを必要とするので、これをひっくり返して考えると「冷たい温度がエネルギー源になる」ということになる。
注2 LNG冷排熱: LNG火力発電において、タンクに貯蔵されているLNG(-162℃)は温度を上げ、気化させた後でボイラーに送って燃やす。現場では導管に常温の海水をかけて温度を上げており、この過程で冷熱は海に廃棄されている。これを捨てることなく活用したいというのが本プロジェクトの基本的な考え方。