理学部の栗原晴子教授の研究課題が戦略的創造研究推進事業(CREST)の研究領域「海洋とCO2の関係性解明から拓く海のポテンシャル」の課題として採択されました。
〇CO2増加に伴う沿岸生態系遷移リスク検知と予測の高度化
研究代表者:栗原 晴子(理学部教授)
研究概要:
現在国内黒潮続流域沿岸においてCO2増加に伴う海洋環境の急激な変化によって、熱帯生物の局所絶滅や高緯度域への移入に伴う生物分布変化が引き起こされつつあります。そこで本研究では、気候変動による生物の分布変化に伴う生態系遷移を素早く検知すると共にその方向性を高精度に予測し、生態系遷移による生態系サービズの変化に伴う社会的リスクを可視化することで、人間社会の持続性と対応力の向上を実現させることを目的とします。
本研究は生理生態・分子生態・モデリング・社会適応の4グループから構成され、自然科学および社会科学の研究者らが連携し、主に4つの研究課題;1. 気候変動環境シミュレータシステム(MESAS)の開発と環境生物応答の評価、2.環境RNAによるストレス検出技術の開発、3. 沿岸生態系統合モデル開発と生態系遷移の予測、および 4. 生物分布変化の生態系サービスと社会へのインパクトと適応策を実践します。本研究プロジェクトは琉球大学、東京大学、東京工業大学および国立環境研究所の研究者らが携わっており、本学からは理学部所属の久保田康裕教授、小枝圭太助教、さらに熱帯生物圏研究センター所属の波利井佐紀准教授らと共に研究を推し進めていく予定です。
JSTプレスリリース:
https://www.jst.go.jp/pr/info/info1638/index.html
https://www.jst.go.jp/kisoken/crest/application/2023/230919/230919crest.pdf
【参考】
〇戦略的創造研究推進事業(CREST)について
CRESTは、我が国が直面する重要な課題の克服に向けて、独創的で国際的に高い水準の目的基礎研究を推進し、社会・経済の変革をもたらす科学技術イノベーションに大きく寄与する、新たな科学知識に基づく創造的で卓越した革新的技術のシーズ(新技術シーズ)を創出することを目的としています。そのために、研究総括が定めた研究領域運営方針の下、研究総括が選んだ、我が国のトップ研究者が率いる複数のベストチームが、チームに参加する若手研究者を育成しながら、研究を推進します。
【CREST(プログラムの概要)】https://www.jst.go.jp/kisoken/crest/about/index.html
〇研究領域について
[海洋カーボン] 海洋とCO2の関係性解明から拓く海のポテンシャル
戦略目標:海洋とCO2の関係性解明と機能利用
研究総括:伊藤 進一(東京大学 大気海洋研究所 教授)
概 要:
本研究領域では、異分野融合アプローチによる、大気・陸域と海洋の炭素交換過程の解明、大気中CO2濃度増加への生態系を含む海洋の応答機能の解明を通じた海洋とCO2の関係の統合的理解と、海洋機能を最大限活用した気候変動対策のためのイノベーション創出を目指します。
【CREST(研究領域の紹介)】https://www.jst.go.jp/kisoken/crest/research_area/bunya2023-2.html