お知らせ

学生・教職員の皆さんへの学長メッセージ ~新型コロナウイルス感染症拡大状況への対応について~

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令和3年9月1日
琉球大学長 西田 睦

 沖縄県では5月23日に緊急事態宣言が発出されて、すでに3ヶ月が経ちました。本学では、昨年度より、保健管理センターをはじめとした新型コロナウイルス感染症に関する各種相談窓口の設置、学びの継続を保障するための講義棟などの感染対策の実施、オンライン授業の拡充、その基盤となる情報通信環境の整備などに、懸命に取り組んできました。さらに先月からは、ワクチンの大学拠点接種も開始したところです。まず、これらに共に取組んでくださった学生および教職員の皆さんに、学長として心から感謝を申し上げます。

 さて、そのような中において、沖縄では先月の8月25日に、1日あたりの人数として過去最多となる809人の感染が確認されるに至っています。県内の医療機関においては、受け入れ病床の拡充など体制強化に尽力いただいているところですが、沖縄県新型コロナウイルス感染症対策専門家会議からは、感染者増加のため医療崩壊が始まっているとの見方が示されました。

 本学でも日々数名の感染、またはその疑いの報告が寄せられていますが、保健所から指示がない、あるいは連絡が取れないという事例が増えており、保健・医療体制が危機的な状況に陥っていることを身をもって感じています。

 今般の新型コロナウイルス感染症の急激な拡大は、デルタ株に置き換わったことによるところが大きいものと思われます。デルタ株では、家庭内感染が起こった場合に、ほぼ全員が感染するケースが多いと言われています。また、数分のコーヒータイムなど短時間の会話でも感染することが判明しており、感染力の高さがうかがえます。さらに重症化率の高さと小児への感染がこのデルタ株の怖いところです。この怖さをよく理解したいと思います。

 「これまでも感染しなかったから大丈夫だろう」という軽い気持ちで会食等をすることは、たいへん危険です。もしその結果、感染し、さらに家族、友人、職場の同僚など多くの人々を感染させ、重症化させてしまったり、最悪の場合、命を失わせる結果となった状況を想像してみましょう。一生の後悔が残ることでしょう。また、医療的な視点から捉えると、医療者の疲弊と医療資源の枯渇化を助長することになります。その結果、感染症の治療が受けられず命を落とす方や後遺症に悩む方も現れるでしょう。県内では、小・中・高校における学びの機会も制約を受けており、妊婦の方への感染事例も増加しています。さらに、その他の疾患で、本来受けるはずであった手術や治療が受けられず、不利益を被ってしまう第三者も生じます。すなわち、一人ひとりの軽い気持ちによる行動が悪循環を加速する可能性があるのです。

 現在、沖縄県では緊急共同メッセージとして、全ての県民に対して「外でも家でも集まらないで、出かけないでください」「他都道府県、離島との往来は、帰省を含め、やめてください」「感染症対策の切り札のワクチンを積極的に接種してください」という3つの「お願い」がなされています。私たちは、この感染症を決して他人事にすることなく、自身の生命を守るため「感染しない」、家族・友人・職場の人々の生命を守るため「感染させない」という心構えを強く持たなくてはなりません。

 ワクチンを接種された方も含め、マスクの着用、手指消毒、密の回避、換気などの基本的な対策は重要であり、引き続きこれらを実施していただくようお願いいたします。とくにマスクに関しては、不織布マスクの効果が高いとされています。布マスクやウレタンマスクを使用している方は、密になりそうな場合には不織布マスクと併用するなどの工夫をしてください。

 せっかくの夏休みであるのに、学生の皆さんが行動制限等の協力要請の中で、窮屈な生活を強いられていること、たいへん残念に思います。しかしこの機会に、普段にはなかなか時間が取れずにできなかった読書などに励み、少しでも有意義に過ごしてくれるよう念じています。間もなく後学期が始まることになります。授業等の実施方法に関しては、後日出される通知を確認してください。皆さんが元気に後学期を迎え、より安全で安心なキャンパスを着実に取り戻していくために、このメッセージに込めた私の想いを受け取っていただければ嬉しく思います。引き続き、ご協力をよろしくお願いします。