研究成果

沖縄近海で発見された深海生物が「世界の新種トップ10」に選出
– 琉球大学などの研究チームが発見した発光する新種が国際データベースWoRMSにより選定 – 目標14:海の豊かさを守ろう

    琉球大学などの研究チームが沖縄県南大東島沖の深海で発見した新種 ウフアガリアカサンゴスナギンチャク Corallizoanthus aureus が、国際的海洋生物データベース WoRMSWorld Register of Marine Species) が選ぶ「Top Ten Marine Species of 2025」 に選出されました。

    • 本種は沖縄県南大東島沖の深海洞窟に生息する、生物発光するスナギンチャク(イソギンチャクの仲間)である。
    • 毎年記載される数千種の海洋生物の中から、世界中の分類学者たちによって本種が「2025年の海洋生物トップ10」に選出された。
    • この成果は、沖縄周辺海域が世界的にも極めて独特で重要な海洋生物多様性を持つ地域であることを示している。

    <発表概要>
     琉球大学理学部のライマー・ジェイムズ・デイビス教授、AISTの喜瀬や海洋研究開発機構(JAMSTEC)の藤原らを含む国際研究チームが記載した新種 ウフアガリアカサンゴスナギンチャクCorallizoanthus aureus が、海洋生物の国際的データベースである国際海洋生物目録(World Register of Marine Species, 略称WoRMS)が選ぶ 「Top Ten Marine Species of 2025」 に選出されました。
     このランキングは、毎年世界中で新たに報告される数千種の海洋生物の中から、科学的・生態学的に特に注目される10種を専門家が選定するものです。

     今回選ばれた ウフアガリアカサンゴスナギンチャクは、沖縄県南大東島沖の深海洞窟環境で発見された新種のスナギンチャクの仲間で、刺激を受けると緑色に発光する特徴を持ちます。今回の選出は、沖縄近海の深海が世界的にもまだ知られていない独特の生物多様性を持つ重要な海域であることを示す成果です。
     研究成果は学術誌 Royal Society Open Science に掲載されています。

     
    WoRMS Top Ten Marine Species とは
     国際海洋生物目録(WoRMS)は、世界の海洋生物の分類情報をまとめる国際データベースで、世界中の研究者によって運営されています。
     WoRMSでは毎年、分類学者を称える日である Taxonomist Appreciation Day3月19日) に合わせ、前年に記載された海洋生物の新種の中から、特に興味深く重要な10種を「Top Ten Marine Species」として発表しています。
     この選出は、新種の科学的重要性だけでなく、生態的特徴や発見のユニークさなどを基準として行われます。

    <研究背景と内容>
     研究チームは、JAMSTECが主導する深海研究プロジェクト D-ARKDeep-sea Archaic Refugia in Karst) の一環として、遠隔操作型無人探査機(ROV)を用いて南大東島周辺の深海洞窟を調査しました。その結果、サンゴ科の一種 ダメサンゴPleurocorallium inutile に付着して生活するウフアガリアカサンゴスナギンチャクを発見し、新種記載されました。
     本種は刺激を受けると緑色の光(波長 約515 nm)を発する生物発光能力を持つことが確認されています。この発光は捕食者への防御などの役割を持つ可能性があると考えられています。

    <成果の意義>
     本研究で記載された新種 ウフアガリアカサンゴスナギンチャク が、国際的な海洋生物データベース WoRMSWorld Register of Marine Species) による 「Top Ten Marine Species of 2025」 に選出されたことは、沖縄近海の海洋生物多様性の重要性を世界的に示す成果です。ライマー教授は「この選出は、沖縄周辺海域が世界的にも独自性の高い海洋生物多様性を持つことを示す重要な成果です。同時に、未解明の生物相が多く残されていることから、今後の継続的な研究と保全の必要性を強く示しています」と述べています。毎年世界中で数千種の海洋生物の新種が報告される中で、特に注目すべき10種として選ばれることは、今回の発見が科学的にも非常に意義深いものであることを示しています。沖縄周辺の海域は、サンゴ礁から深海まで多様な環境を持ち、独自性の高い生物相が存在することで知られています。本研究は、沖縄の深海にもまだ多くの未知の生物が存在する可能性を示すとともに、この地域の海洋生物多様性の価値を改めて示すものです。
     また、本種は刺激に応じて発光する特徴を持ち、刺胞動物における生物発光の進化や生態的役割を理解するうえでも重要な知見を提供します。

    <論文情報>
    雑誌名:Royal Society Open Science
    論文タイトル: Glow in the D-ARK: a new bioluminescent species of Corallizoanthus (Anthozoa: Zoantharia: Parazoanthidae) from southern Japan
    著者: Hiroki Kise, Manabu Bessho-Uehara, Kenta C.F. Kondo, Kiko Shimoji, Shohei Ito, Shinji Tsuchida, Yoshihiro Fujiwara, James Reimer
    DOI番号:https://doi.org/10.1098/rsos.250890