国際地域創造学部経済学プログラムの星野高徳教授(日本経済史)が、生協総研賞第15回表彰事業「研究賞」を受賞しました。表彰式、受賞講演会は、2025年12月5日に東京都千代田区主婦会館プラザエフで行われました。
【生協総研賞表彰事業「研究賞」とは】
生協総研賞は、人々のくらしをめぐる研究の発展と、生協・消費者・社会運動に関連する研究の発展を目的として1999年から設けられました。「表彰」(「研究賞」・「特別賞」)および「助成」に区分された事業です。表彰事業は隔年に実施しております。
今回の表彰事業では、2023年1月1日から2024年12月31日までの2年間に刊行あるいは発表された著書・論文等を対象とし、出版社や関係する方々より計95点の推薦をいただきました。選考委員会(委員長:宮本みち子、副委員長:岩田三代、委員:遠藤公嗣、岡田知弘、神尾真知子、嶋田裕之、敬称略)において議論を行い、推薦をいただいた図書の中から、下記のとおり受賞作を決定いたしました。
(公益財団法人生協総合研究所HPより)
【授賞理由・講評】
本書は1世紀にわたる屎尿処理の変遷を、綿密な先行研究のサーベイと収集された豊富な資料で明らかにしている。研究のスタンスは明快である。先行研究では、屎尿処理は都市衛生という観点から理解され、諸外国と比較して下水処理化が遅延した原因は、もっぱら財政面の限界にあったとされてきた。しかし実はそれだけではなく、都市住民の経済上の限界、屎尿処理業者の事情、農民側の需要などの利害関係をみなければならない。行政はこれらの利害関係をみて屎尿処理事業を調整してきたことを、東京市、大阪市、名古屋市にフォーカスして具体的かつ詳細に分析している。人が暮らす限り屎尿処理は不可欠の事業であるが、そのダイナミックスを解き起こす説得力のある力強い研究書である。
【受賞者のコメント】
生協総研賞第15回表彰事業「研究賞」を受賞し、大変光栄に思います。受賞書籍『屎尿処理の近現代史――汲取から下水処理への転換』は、戦前から戦後の東京、大阪、名古屋の屎尿処理政策についてまとめたものです。慶應義塾大学大学院在籍時から戦前の東京市、大阪市、名古屋市における屎尿処理政策や戦後の下水道整備の過程について研究してきました。今後は那覇市などの地方都市やイタリアなどの海外の公衆衛生についても調査を進めながら、上下水道などの都市のインフラ整備に関する研究を続けていきたいと思います。
![]() 受賞式の様子① |
![]() 受賞式の様子② |
![]() 受賞式の様子③ |
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