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医学科学生が第73回日本気管食道科学会総会・学術講演会の医学生・研修医セッションで最優秀演題賞を受賞 目標3:すべての人に健康と福祉を

 耳鼻咽喉・頭頸部外科学講座で医科学研究を行った高橋美羽さん(医学部医学科4年次)が第73回日本気管食道科学会総会・学術講演会において、医学生・研修医セッションで口頭発表を行い、最優秀演題賞を受賞しました。

 2022年11月4日、5日に第73回日本気管食道科学会総会・学術講演会が開催されました(会長:鈴木幹男教授、琉球大学 大学院医学研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科学講座)。
 日本気管食道科学会は、耳鼻咽喉科、消化器外科、呼吸器外科、内科、形成外科、放射線科、麻酔科など多くの専門家が一同に集い、横断的に議論を深めることを目的として設立され、70年以上の歴史ある学会です。
 今回の学術講演会では300題以上の臨床及び基礎研究の成果が報告されました。本学会では早い段階から気管食道領域の魅力を感じ、興味を持ってくれることを願い、医学科学生および研修医を対象とした表彰が企画されています。

 高橋さんは、2021年12月から2022年3月までの3ヶ月間、医科学研究で耳鼻咽喉・頭頸部外科学講座に配属されました。同講座では池上太郎助教の指導の下、同級生の上原和子さんと仲村理栄さんの3人で協力して、中咽頭癌の原因となるハイリスク型ヒトパピローマウイルス(HPV)13種類のE6遺伝子が細胞内で発現する際にどのようにスプライシングされるか研究を行ってきました。そして、本学術講演会では、高橋さんが3人で行った研究を代表して、「ハイリスク型ヒトパピローマウイルスE6遺伝子のスプライシングサイトの同定」と題し発表を行いました。
 本発表では13種類のハイリスク型HPVがヒト細胞内で強制発現した際にも、ヒトの生体内と同様にE6遺伝子がスプライシングされることを示しました。ハイリスク型HPVは中咽頭癌の50%の原因であり、他には酒やタバコなどの発がん物質が原因で罹患します。HPVによる中咽頭癌は、ほとんどの場合、治癒率が高く、治療前にHPVの感染の有無を判断できることが重要になります。
 現在、HPVの感染の判断には代理マーカーとしてp16という細胞内タンパク質の発現の有無で見られています。しかしながら、p16は各種の因子で増加するため、発現が増加していてもHPV感染でない場合があります。
 そこで、同講座ではHPV由来のE6タンパク質を直接検出できる抗体の開発を行っています。今回、E6のスプライシングサイトを見つけたことで、抗体作製の際にも有用な情報がもたらされました。
 学会からも本研究が実臨床での課題を解決に導く有用な研究報告と評価されました。プレゼンテーション内容のみならず、質疑応答についても気管食道医と同等の知識を有した発表が印象的で、研修医などが発表する中、厳密な審査によって最優秀賞に選出されたことは特筆すべき事であります。

発表する高橋さん

<受賞者>
 高橋美羽(医学部医学科4年次)

【高橋さんの受賞コメント】
 今回、同級生含め3名で行った研究によって受賞できた事、大変嬉しく思います。
 これも、池上先生をはじめとした琉球大学病院耳鼻咽喉科の先生方のお陰です。耳鼻咽喉・頭頸部外科学講座の研究室の皆さんにも大変お世話になりました。
 今後も、研究の心を忘れずに頑張りたいと思います。

>左から仲村さん、上原さん、高橋さん、池上先生


参考サイト
第73回 日本気管食道科学会総会ならびに学術講演会
日本気管食道科学会