お知らせ

理工学研究科情報工学専攻の高嶺さんが3つの学会で受賞しました

 本学の理工学研究科 博士前期課程2年の髙嶺潮さんが、2020年中に行われた3つの学会において研究発表を行い、各賞を受賞しました。
髙嶺さんの研究テーマは「深度推定」と呼ばれる技術で、これはカメラから被写体までの距離を機械によって推定するものです。髙嶺さんはそのうち、モノラル画像から距離を推定する「単眼深度推定」の精度向上を目的としています。具体的には、Multi-task learningと呼ばれる技術とMultiple-inputと呼ばれる技術を統合し、2つの技術に最適化されたモデルを構築することで単眼深度推定の精度改善を実現しました。
 髙嶺さんは各賞において優れた論文発表者のうちの一人として選ばれ、受賞に至りました。これまでに培ってきた知識、技術、努力が形となった結果になりました。

<受賞者のコメント>

「学部4年次の頃から続けていた研究の成果が認められ、日頃の努力が実を結んだこと、大変光栄に思います。また、遠藤先生ならびに研究室メンバーと両親、周囲の人たちのご助力があったからこそ今まで研究を続けてこられたので、それら多くの恩に報いることができたことをとても喜ばしく思います。遠藤研究室の仲間達と切磋琢磨してきたこの3年間は、間違いなく私の一生の宝物であり、誇りとなっています。本当にありがとうございました」


SCIS&ISISの賞状を手にする高嶺さん

 

<各学会と賞>

1.
学会名:IEEE CISJ&電子情報通信学会/ ニューロコンピューティング研究会 
賞:IEEE Computational Intelligence Society Japan Chapter Young Researcher Award (YRA)
発表タイトル:「深度勾配によるMulti-task learningとSelf multiple-inputを用いた教師あり単眼深度推定」
発表概要:単眼深度推定モデルの改善手法として、現在は主に2種類のアプローチが存在しています。一つは「入力情報の種類を増やす方法(Multiple-input)」であり、もう一つは「複数種類の問題を同時に推定させる方法(Multi-task learning)」です。本発表では、両者の技術に最適化された統合モデルを提案し、教師あり学習における推定精度を平均50cm改善しました。

2.
学会名:情報処理学会/ FIT情報科学技術フォーラム
賞:ヤングリサーチャー賞
発表タイトル:「深度と深度勾配の相互変換によるMulti-task learningを活用した教師なし単眼深度推定」
発表概要:本発表では,ニューロコンピューティング研究会で提案した統合モデルの前半部を、教師なし学習に適用し、推定精度を検証しました。実験の結果、深度推定の副産物として、画像間のカメラ座標の推定精度が向上することが判明し、教師なし学習における統合モデルの有効性が一部確認されました。

3.
学会名:SCIS&ISIS2020
賞:SCIS&ISIS2020 Best Presentation Award
発表タイトル:「Monocular Depth Estimation with a Multi-task and Multiple-input Architecture Using Depth Gradient」
発表概要:本発表では、単眼深度推定における統合モデルの推定精度を教師あり学習と教師なし学習で検証しました。教師あり学習においては深度推定の推定精度を平均50cm改善しました。教師なし学習においては、深度推定の副産物として、画像間のカメラ座標の推定精度を改善しました。加えて、教師なし学習における更なる改善モデルを提案することで今後の展望としています。

<各賞について>

1.IEEE Computational Intelligence Society Japan Chapter Young Researcher Award (YRA)
説明:2020年6月のニューロコンピューティング研究会の発表に対して受賞した、IEEE Computational Intelligence Society Japan Chapter Young Researcher Award (YRA)は,CIS の領域に関連の深い研究会・シンポジウムにて35歳以下の優れた論文発表者でかつ第一著者を表彰するものです。年間で十数名に授与され、去年はニューロコンピューティング研究会(NC)に参加した約400名の参加者の中から6名の受賞者が選定されました。

2.ヤングリサーチャー賞
説明:9月の発表で受賞した情報科学技術フォーラムヤングリサーチャー賞は,平成14年度からスタートした情報処理学会と電子情報通信学会情報・システムソサイエティおよびヒューマンコミュニケーショングループ合同の会議「情報科学技術フォーラム(FIT)」において、33未満の学会員に限定して優れた研究を表彰するものです。具体的には,全発表論文の1.4%未満を上限として論文が選ばれます。今年は約500件の発表論文のうち4件の論文がヤングリサーチャー賞として表彰されており、その中の一つが髙嶺さんの論文です。

3.SCIS&ISIS2020
説明:12月のSCIS&ISIS2020は、IEEE SMCや日本知能情報ファジイ学会がスポンサーの知能情報に関する専門の国際会議で、 Best Presentation Awardは当該会議の中から特に優れた発表を行なった研究者を表彰するものです。髙嶺さんは研究進展の各段階で高い評価を得る形となりました。