学報 2004.8

シリーズ エコキャンパス行動宣言(その2)
省エネ・省資源の推進

「私たちは、キャンパス内での諸活動において省エネ・省資源を推進します」

エコロジカルキャンパス推進委員会
伊波美智子(法文学部) 

 300億円、200億円、2億円・・・のっけから数字を並べて恐縮ですが、この数字が何を指しているか、ご存知でしょうか。300億円は琉球大学の予算規模、200億円は人件費を除いた費用総額、そして2億円は毎年求められているコスト削減目標額です。ちなみに琉球大学の所在地である西原町の予算規模は約90億円、隣接する宜野湾市は約240億円です。ふだん私たちはあまり意識することはありませんが、琉大は県下でも有数の大規模事業所なのです。
 一般的に大学は製造業に比べて環境に有害な廃棄物・排出物は少なく、また大学のイメージからしても公害源として認識されることはほとんどありません。しかし、事業体としての規模(構成員数、施設規模)がかなり大きいため、総量として環境にかける負荷は決して小さいものでないことを自覚することは必要でしょう。本稿では大学全体としてのコストに係る省エネ・省資源の問題について考えてみたいと思います。

夏場の電気代
 毎年夏場になると、節電(冷房停止)についての協力要請文書が回ってきますが、どれだけの教職員(とくに教員)が自分の問題として受け止めているでしょうか。自戒をこめて問い直しています。平成15年度の電力料金(年間)は、千原キャンパスで約2億5千万円。上原キャンパスの病院・医学部を加えると約5億8千万円にもなります。沖縄の夏はクーラー無しでは教育・研究もままならない暑さですが、クーラーの掃除、昼間の廊下や窓際の照明を消す等、快適さを損なわずに節電できる部分はかなりあるし、夏場の省エネルギー(ピーク・カット)により年間契約料金を抑えられるというメリットもあります(注1)。建物を新築する際に、冷暖房・照明等の省エネを念頭において設計することはいうまでもありません。多少割高でも建物の耐用年数を考慮すれば十分元は取れるし、先駆的に取り組めばPR効果・教育効果もあります。

紙のリサイクル
 ひところ「紙の消費量は文化のバロメーター」と言われたことがありましたが、コンピュータの時代になっても、知識産業である大学の業務運営は紙抜きに考えることはできません。だからこそ紙という資源を大事にしたいのです。
 エネルギー(電気代)の多くが医・理工系学部で消費されるのに対し、紙は文系学部及び事務関係で大量に使用されます。紙については、現在、病院・医学部を除き全学部で資源化のための回収システムができました。紙を資源化することで可燃ごみ量は毎年着実に減り続け、平成15年度は12年度比で27パーセント減、金額にして234万円の節約になりました。これにはトイレットペーパーのおまけまでついてきます。全学的に資源化意識が向上すれば、この数字は倍増すると見込んでいます。まだ資源化に取り組んでいない部局のシステム構築と資源化率の向上が求められます。


▲大学本部の紙収集所

草木ごみと生ごみのリサイクル
 広大な敷地をもつ琉球大学、緑豊かなキャンパスを手入れすると膨大な草木ごみが出ます。無造作にそこかしこに積上げられたりしていますが、これもヒト手間かけることにより学内で資源化できます。本館事務局では、弁当の残飯を分別して生ごみ処理機で堆肥化することに成功しています。
 現在、上原キャンパス(付属病院及び医学部)には、枝をチップ化する機械と有機ごみを粉砕・攪拌する機械が入っていますが、これを全学的に活用していくことも今後の課題でしょう。病院や付属小学校から出る残飯などと草木ごみを一緒に堆肥化して学内の美化や実習に役立てれば資源の地域内循環になります。大事なことはごみを邪魔者扱いにせず資源として活かすという発想の転換です。


▲上原キャンパスの生ごみ処理機


▲堆肥化された枝と有機ごみ

大学のISO14001(注2)
 エコキャンパス・プロジェクトのスタート以来、琉球大学でもISO14001環境マネジメントシステムの認証を取得してはどうかという提言を多くの方からいただきました。
 武蔵工業大学環境情報学部(1998年10月認証取得)を嚆矢として、2003年末までに全国で37の国公私立大学がすでにISO14001を導入しています。少子化時代の到来を迎え、大学の生き残りをかけてISO14001の導入に取り組んだこともあって、私立大学が圧倒的に多いのですが、国立大学も法人化を契機に導入する大学が増えるものと思われます。
 事務量が増えてたいへんだ、とか認証取得に経費がかかるという反対意見もある中、ISO14001を導入した大学では、入学志願者数が伸び全体的に学力向上が認められる等、予想を上回るプラス効果が認められる傾向にあるといいます。(注3)

大学の環境責任
 大学には次世代を担う人材を養成するという社会的使命があり、その行動は地域に大きな影響力を持っています。大学は、大規模事業所として省エネルギー・省資源を実践し、地球温暖化問題や資源問題等のグローバルな課題に対する社会的責任を果たしていかなければなりません。
 沖縄県の場合、電力は再生不可能な化石燃料で作られています。さんご礁の海に囲まれた沖縄にとってさんごの死滅や海面上昇につながる地球温暖化問題は他人事ではありません。脱化石燃料をめざす持続可能な社会の実現は省エネルギー・省資源という私たちの小さな実践から始まります。限りある資源を大事に使うことを大学が実践してみせること――すなわち、総合大学としての強みを生かし、教育・研究環境の整備に力を入れるとともに教職員・学生が環境マインドを持ち行動することが明日の地球を担う世代を育てるという大学の社会的責務ではないでしょうか。

 「自分一人にできることはたかが知れている、という考えをすることはよくあることだ。・・・ 自らが従事している仕事においては、人はみなプロフェッショナルであり、その仕事を通じて、なにかしら自然環境に貢献できることがあるはずである。」
 ―― K.H.ロベール(スウェーデンの環境教育団体ナチュラルステップの創始者)

<エコキャンパス行動宣言>

1.私たちは、キャンパス内での諸活動を通して美しいキャンパス景観を創造します。
2.私たちは、キャンパス内での諸活動において省エネ・省資源を推進します。
3.私たちは、自然との共存、人との対話を通して思いやりの心を育み行動します。

(注1) 契約電力とは、大口需要者と電力会社が最大電力使用量を契約で定めたものです。この契約により割安な料金で電力供給を受けることができますが、最大需要量(月間)が契約電力を超過した場合には違約金を支払わなければなりません。また、継続して3ヶ月違約した場合には契約変更を求められます。結果として、電力使用量の少ない冬場にも契約金を支払わなければならず、年間電力料金は高いものになります。夏場の節電努力により現契約を維持できれば、年間約1千1百万円の費用節約になります。(平成16年7月7日付け学内公文書資料より。文責:伊波)
(注2) 国際標準化機構(International Standard Organization)による環境マネジメントシステムの国際標準規格。1996年9月制定。
(注3) 私立大学環境保全協議会・ISO14000委員会(編著)『大学のISO14001』研成社、2004年、19ページ。

(琉球大学のホームページ http://www.u-ryukyu.ac.jp にエコキャンパスのサイトがあります。)

 

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