琉球大学学報 第405号
2002.5

メキシコ大学の建物に施された壁画と浮き彫り
▲メキシコ大学の建物に施された壁画と浮き彫り(その2)
 熱帯の強烈な日射にも負けない圧倒的な大きさと
原色のままの色彩を持つメキシコ大学の壁画。
絵画としての評価はともかく、シンプルで力強い構図には
何かを訴えかけるような迫力がある。

エコキャンパス6

 色彩は論理的な思考よりも感覚的な感性や感情と強く結びついているような気がする。ある色を見て文字や数字を連想することは稀であるが、感情や匂いなどとは比較的近い距離にある。また、ある特定の地域を代表する色が強く記憶に残ることがある。たとえばオランダのレンガの独特の茶色や、デンマークの民家の白い壁などである。ライン川を越えただけでフランスでは黒かった屋根の色がドイツでは赤茶色に変わるのは何とも不思議である。こんな色彩のイメージの中で最も強い関係は、単純な赤や青の原色と熱帯地方ではないだろうか。上気した陽気さの中に一抹の孤独を感じさせるような原色の組み合せと、強烈な太陽に焼かれた熱帯の雰囲気や匂いはやはり簡単に結びついてしまう。メキシコ大学の壁画の色彩はまさにそれらしさを感じさせるものである。本学にも彩色した壁画はあるが、より一層イメージを反映させるような色彩計画とその維持管理ができないものだろうか。

(写真と解説:工学部教授 堤純一郎)