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沖縄の海から118年ぶりに発見!?新種の淡水クラゲ

2017年11月28日掲載


<本研究成果のポイント>

  • クラゲはヒドロ虫綱、鉢虫綱、箱虫綱、十文字虫綱の4つのグループに分類されます。今回見つかったのはヒドロ虫綱淡水クラゲ目の新種です。淡水クラゲ目はマミズクラゲなど淡水に生息するクラゲを含むグループです。
  • 1999年から2003年にかけて沖縄本島、阿嘉島、石垣島で採集された標本を調べたところ、ヒドロ虫綱の新種であることがわかり、コモチカギノテクラゲモドキScolionema sanshinと命名しました。
  • コモチカギノテクラゲモドキはヒドロ虫綱淡水クラゲ目のコモチカギノテクラゲ属の仲間です。コモチカギノテクラゲ属としては1899年以来、118年ぶりの新種報告となります。

琉球列島で新種のクラゲが発見されました。沖縄本島や阿嘉島、石垣島の漁港やマリーナで採集されたクラゲの標本を分類学的に精査したところ、淡水に生息するマミズクラゲと同じヒドロ虫綱淡水クラゲ目の仲間であることがわかり、コモチカギノテクラゲモドキScolionema sanshinと命名しました(図1A)。本種はコモチカギノテクラゲ属 Scolionemaの仲間であり、本属としては1899年以来、118年ぶりの新種報告となりました。この研究成果は11月7日に学術雑誌「Zootaxa」に掲載されました。

<研究の背景>

ヒドロ虫綱の淡水クラゲ目にはマミズクラゲのように淡水に生息する種もいますが、そのほとんどは海産です。世界で約60種、日本では9種がしられています。淡水クラゲ目の仲間には水族館で展示生物として人気の高いハナガサクラゲや刺されると重症化することもあるカギノテクラゲ、外来種として問題になっているキスイクラゲなどがあります。沖縄周辺においても淡水クラゲ目の仲間が報告されてきましたが、詳しい調査は行われていませんでした。私は沖縄本島北部にある琉球大学瀬底研究施設を拠点に採集調査を行ってきました。

今回、琉球列島で発見されたコモチカギノテクラゲモドキは傘の直径が5 mmほどの小型種です。傘は透明で、口や触手がオレンジ色や蛍光緑をしていて、とても美しいクラゲです。昼間はじっとしていることが多いのですが、夜になるとピコピコと活動的に泳ぎます。傘の縁には約60本の触手があり、それらの先端が三線を弾く人の指のように曲がっていることから「sanshin」の名があります。日本に生息するコモチカギノテクラゲにとてもよく似ていますが、触手の数や生殖巣の形で判別できます。

<今後の展望>

淡水クラゲ目のハナガサクラゲやカギノテクラゲは強い毒をもっています。コモチカギノテクラゲモドキの毒性は不明ですが、刺傷被害を引き起こす可能性があります。今後は琉球列島におけるクラゲの出現時期や生息域、生態に関する研究を行い、刺傷被害対策のための基礎的知見を集める予定です。

<論文情報>

  • 掲載誌:Zootaxa 2017/11/7にオンライン上で公開
  • 論文タイトル:Scolionema sanshin sp. n., a new species (Hydrozoa, Limnomedusae, Olindiidae) from the Ryukyu Archipelago, southern Japan
  • 著者:Sho Toshino

<研究サポート>

本研究の一部は第28回(平成28年度)昭和聖徳記念財団学術研究助成の支援の下で行われました。

図1.コモチカギノテクラゲの仲間. A.コモチカギノテクラゲモドキ(側面), B.コモチカギノテクラゲモドキ(傘頂面), C.コモチカギノテクラゲモドキ(触手先端), D.コモチカギノテクラゲ(側面), E.コモチカギノテクラゲ(傘頂面)