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HOTな研究(8)

2011/02/23

「物質動態から考える水域の生態系保全」 坂巻隆史(特命准教授)
坂巻隆史特命准教授の顔写真 琉球大学 亜熱帯超域研究推進機構
坂巻隆史 (特命准教授)
Eメール: sakamaki@lab.u-ryukyu.ac.jp
研究室URL : http://tsakamaki.peacefully.jp/

研究タイトル : 「物質動態から考える水域の生態系保全」

研究概要 :

私のグループでは、干潟・サンゴ礁・河川といった身近な水域をフィールドとして、特に人間活動に影響を受ける物質の動きに着目し、その生物生息への影響を明らかにする研究に取り組んでいます.物質動態を明らかにすることで、生態系(生物とそれを取り巻く環境)の中の様々な現象を明らかにすることができます.

例えば、沿岸域では、貝・カニ・ゴカイなど多くの底生動物が砂・泥といった底質の上で餌を取り生息しています.粗い砂になるか細かい泥になるかは、そこに生息できる生物の種類や密度に大きく影響します。一般に、水の流れが強い所では砂、弱い所では泥、中間的な所では砂と泥が混ざりあったものとなりますが、砂になるか泥になるかを正確に予測するのは、様々な要因が作用するため意外と難しいのです.干潟をフィールドとした我々の研究では、生物の棲みかである砂や泥の場が形成される条件を明らかにし、さらに、人為的な流域からの土砂流出や護岸建設等による水の動きの改変が生物生息に及ぼす影響を予測することを目指しています.

生態系を保全し、さらにダメージを受けた生態系を修復するには、様々な環境変化に対する生物の応答パターンを正確に理解する必要があります.しかし、環境といっても、温度、水の動き、水質など様々な要素が含まれ、さらに生物も多様です。環境変化に対する生物の応答を明らかにするというのは、人間にとって重要かつとても挑戦的なテーマなのです。生態系の複雑さは、保全を考えるうえで厄介ですが、同時に面白い現象の塊とも言えます.生態系を理解するには、物理・化学・生物に関連する幅広い知識、そして調査・実験や統計解析のテクニック等を身につけなければなりません.「生態系」は自分の思考能力を鍛えてくれる格好の相手だと考えています.

左図:干潟底質表層は水の動き等により常に変化し続け、
その中で性状が決まる(Sakamaki & Nishimura 2006を一部改編).
右図:流れの小さな場ほど底質中の細かい粒子(泥)の割合が大きくなる.
流速と底質の関係は単調ではなく、底質が急激に変化する流れのしきい値が存在する(宮平・坂巻 印刷中 を一部改編).

細い粒子が沈降したり巻き上げられたりすることによって、底質の性状が決定されていく過程を示したモデル.
非粘着性の砂質(上段)と粘着性の泥質(下段)では底質の動態や形成過程が大きく異なる.
(Sakamaki & Nishimura 2007を一部改編)

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