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HOTな研究(16)

2012/04/11 掲載


藤田和彦
理学部物質地球科学科
准教授 藤田和彦

Eメール
fujitaka@sci.u-ryukyu.ac.jp

研究室URL
https://sites.google.com/site/reefforamslab

研究タイトル : 「サンゴ礁の過去・現在・未来を行き来する」

研究概要:

皆さんは「星砂」をご存知かと思います。沖縄では竹富島などの海岸でたくさん見つかります。また沖縄のお土産品としても有名です。でも皆さんは「星砂が生きている」のはご存知ですか?星砂はサンゴ礁の浅い海の海藻や石にくっついて生きています。星砂の殻の中には細胞がつまっています。皆さんが見たことのある星砂はその死骸なのです。星砂は「有孔虫(ゆうこうちゅう)」という殻をもった単細胞生物の一種なのです。星砂の仲間には、太陽の砂、土星の砂、ゼニイシなどの名前がついた有孔虫もいます(図1)。

図1.サンゴ礁に棲息する代表的な有孔虫

図1.サンゴ礁に棲息する代表的な有孔虫

星砂の生態や死骸(化石)を調べると実は地球環境についていろいろと分かります。例えば、オーストラリアの大サンゴ礁グレートバリアリーフの海底を掘ると、水深100メートル付近の地下から星砂の化石がたくさん見つかります(図2)。星砂は海岸に見つかるはずなのにどうしてでしょうか?実は今から2万年程前、地球は氷河期と呼ばれる氷の世界でした。氷に覆われていた分、地球の海水面は今よりも120メートルほど下がっていました。星砂の化石はその当時の海水面(海岸)の位置を教えてくれているのです。そして、星砂の化石を追いかけることで、氷河期から現在にかけて海水面がどのように上昇していったのかを明らかにできます。さらに、その海水面の上昇に伴って、世界遺産グレートバリアリーフがどのように造られたのかも明らかにできます。

グレートバリアリーフの位置と調査地点

掘削された海底の地層

図2.私の研究室も参加しているオーストラリア・グレートバリアリーフでの国際深海掘削プロジェクト
【上の図】グレートバリアリーフの位置と調査地点(赤い星印)
【下の図】掘削された海底の地層。縦軸は現在の海水面からの深さを示す。水深50~130メートルの海底から多数の地質柱状試料(コア)が掘削された。紫色の部分からはサンゴの化石が、青色や緑色の部分からは星砂の化石が見つかる(Webster et al. 2011を基に作成)。


また南太平洋の赤道付近に、地球温暖化による海面上昇で最初に沈む国として注目されるツバルという国があります。この国は環状のサンゴ礁の上にあり、そのサンゴ礁の上に標高が低く、砂でできた小さな島が点在しています。この島を造る砂は、ほとんどが星砂です。つまり星砂によって造られた島国なのです(図3)。したがって、この島国が将来どうなるのかを考える上で、ホシズナが今どれくらい棲んでいて、毎年どれくらい死んで砂になるのかを調べる必要があります。現在ツバルの研究者と協力して、ツバルの島を守るにはどうしたらよいか、現地調査や星砂の飼育実験を行って調べています。

ツバルの島の海岸 共同研究者と記念写真

図3.南太平洋ツバルの調査風景
【上の写真】 ツバルの島の海岸。オレンジ色に見える部分は星砂でできている。
【下の写真】 調査の合間にツバルの共同研究者と記念写真


他にも、過去や未来の環境を再現した飼育実験を行って、将来ホシズナがどうなるのか調べています。

このように私の研究室では星砂というタイムマシンを使って、サンゴ礁の過去・現在・未来を行き来する研究をしています。そのためにはもっと星砂というタイムマシンを理解する必要があります。そうすることで、より遠くまで、よりはっきりと過去や未来を見ることができます。過去や未来のことが見えてくると、今の私たちはどのような生活をすればよいのか分かってくると思います。

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