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HOTな研究(14)

2012/01/10


助教 佐藤 丈寛
医学研究科人体解剖学講座
助教 佐藤 丈寛
E メール:tsato@med.u-ryukyu.ac.jp

研究タイトル : 「ゲノム情報から古代人の姿を復元する」

研究概要:

古代人やその他の絶滅生物の姿を復元する場合、これまでは残された骨の形状からその姿形を推測してきました。この方法では大まかな顔立ちや体型は復元できますが、眼や髪の色、一重まぶたか二重まぶたか、といった化石として残らない特徴については研究者が想像力を働かせるしかありませんでした。

しかし、化石の中に残されたわずかなDNAを解析しゲノム情報を得る「古代DNA分析」という手法が発展したおかげで、骨の形状からは分からない古代人の特徴の復元も徐々に可能になってきました。例えば、耳垢の乾湿はABCC11という遺伝子の変異によって決まりますが、縄文人の骨からDNAを抽出してこの遺伝子を調べてみると、縄文人は現代の本土日本人に比べ、湿型タイプが非常に多かったことが分かりました(図1)。

図1

図1.(A) ABCC11 の対立遺伝子頻度分布. (B) 耳垢の表現型頻度分布.(Sato et al. 2009 Journal of Human Genetics 54: 409-413; Yoshiura et al. 2006 Nature Genetics 38: 324-330; Kitano et al. 2008 Legal Medicine 10: 113-114 より改変)

ゲノム情報を基に古代人の姿を復元するには、復元したい特徴に影響する遺伝子が分かっていなければなりません。私が所属する研究室ではゲノムワイド関連解析(GWAS)という手法(図2)を用いてヒトの様々な特徴に関連する遺伝子を探索しており、その中で私は体毛の多さに注目して研究を進めています。

図2

図2. 耳垢の乾湿についてGWAS を行った例. 図はQuickGWAS Academic ( アメリエフ株式会社)を用いて作成. 16 番染色体上に耳垢のタイプと強く関連する変異があるのが分かる. 耳垢の乾湿に関連する変異は長崎大学の研究グループによって既に発見されている(Yoshiura et al. 2006 Nature Genetics 38:324-330).

一般的に、沖縄の人々は本土の人々よりも体毛が多い人の割合が高いといわれています(図3)。

図3

図3. (A) 体毛が発達した手の甲. 本土より沖縄で高頻度にみられる. (B) 体の各部位の体毛の多さを段階的に評価した際の第1 主成分得点(全身の体毛の多さを表す)の分布. 本土の人々よりも沖縄の人々のほうが得点が高い傾向にある.

これは沖縄の人々が縄文人の遺伝的特徴を多く受け継いでいるためだと考えられていますが、縄文人の体毛が本当に多かったのか実際にはよく分かっていません。体毛の多さに影響する遺伝子が見つかれば、縄文人の体毛の多さを古代DNA 分析によって明らかにすることが可能になるのです。

また、沖縄の人々を含めた日本人の成り立ちを明らかにする研究も行っています。ゲノムを解析することで様々な地域の人々の近縁関係を明らかにすることができます(図4)。

図4

図4. Human Genome Diversity Projectで解析されたうちの24集団のゲノムデータを用いた主成分分析. 近縁な集団どうしは近くにプロットされる.

このような情報から過去のヒトの移住や混血を推測することで、私たち日本人がどこから来たのかを明らかにしていきたいと考えています。

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