2011/09/05

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琉球大学工学部情報工学科 玉城史朗(教授) |
近年の地球規模の気候変動は、洪水や干ばつ、砂漠化など、さまざまな形で人間社会に実害をもたらしています。気候変動を食い止めるためには、まず、温室効果ガスの排出源である石油や石炭などの化石燃料を、再生可能な自然エネルギーである風力エネルギーや太陽エネルギーで代替していくことが重要となってきます。
一方、異常気象に伴う農作物生産率は全世界的に悪化しており、安心・安全な食糧の生産は、我々が解決すべき最大の緊急課題です。
このような食・エネルギー環境の中、島嶼地域やへき地においては、農業用の揚水や散水のための電力の確保が困難であるという非常に深刻な問題が発生しています。
島嶼地域の広大な農地において、農産物の生育に不可欠な水資源を確保するために必要な電力源は商用電源が一般的ですが非常にコスト高となります。従って、食の安心・安全の確保と地産地消を拡大するためには、生産現場でエネルギーを自給する、いわゆる、“エネルギーの地産地消システム”の構築が必要となります
この課題を解決するために、私の研究室では、沖縄県うるま市津堅島で風力と太陽光エネルギーを用いた自律型農業用ハイブリッド発電システムを構築しました。
この研究の要素は多岐にわたっています。例えば、強風に対して頑強な風力発電システムや安心・安全な運転制御技術の開発、バッテリーを用いることなく電圧変動の激しい太陽光発電で直接農業用水を灌漑する技術、災害を防止するためのゲリラ降雨などの動きを予測する手法、さらには、自然エネルギーシステムの運転状況や作物の生育状況をモニタリングして管理する技術などがあります。この自律型農業用ハイブリッド発電システムの実現にあたっては、基盤技術としてのICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)が重要な役割を果たします。インターネットにセンサーやコントローラを直接接続することにより、いつでも、どこからでもシステムの監視や制御を行うことが可能となります。私たちは、ICT技術を用いて、環境と共生し社会に役立つモノを創ることを目指しています。

ハイブリッド発電システム全景

ネットワークカメラによる遠隔監視

自律型バッテリーレス揚水システム

ゲリラ降雨の観測