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“亜熱帯特有”とっておきの知財(2)
「成人病対策は抗酸化物質を」《ぬちぐすい》沖縄の長寿再生の為に

平成23年12月05日掲載


“亜熱帯特有”とっておきの知財(2)

1. 生活習慣病で沖縄の健康長寿が黄色信号に

日本は21世紀を迎えて、少子・高齢化を加速している。2050年には人口は1億人まで減少し、65歳以上の高齢者比率は35%まで増加すると予測されている(日本の将来人口推計(H14)ヨリ)。少子化の中での高齢化は国の在り方にも大きな影響を与え、高齢者の生活改善・健康維持が国の活性化に極めて重要である。また、高齢化に伴い死亡原因の上位を占めるがん、心臓疾患、脳卒中などの生活習慣病も益々増加するものと思われる。

こうした生活習慣病での死亡率は、沖縄県は全国自治体別の中でも最も少ない方であり、これが長寿の一つの要因であると思われる。ところが、その沖縄でも生活様式の変化によりメタボな体型が増え、先人が築いてきた健康・長寿社会にも注意信号が灯っている。

2. 医食同源:日常的な食品から健康改善を

生活習慣病や老化は、活性酸素の影響を大きく受けることが近年知られてきた。活性酸素とは化学用語で、一重項酸素(O2)、スーパーオキシド(SOD)、過酸化水素(H2O2)、ヒドロキシラジカル(OH・)の総称である。いずれも安定な酸素に比べて非常に活性で、体内でそのもの自体が有毒であるばかりか、非常に高いエネルギーによりDNAを傷つけて細胞のがん化を誘因する。この活性酸素は、喫煙、ストレス、飲酒、食品添加物、不規則な生活、農薬などの化学物質、排気ガス、などによって増加するといわれ、生活習慣病の主要な原因になっている。

安仁屋洋子名誉教授は、麹菌の一種のモナスカス(Monascus)属に属する微生物の培養物またはその抽出物に有効で安全な抗酸化物質が含まれていることを見出した(特許3683010:抗酸化性物質の製造法およびその用途)。この抗酸化効果は、前述した体内に発生した活性酸素を無毒化して体を正常に維持する作用を持つ。安仁屋先生はこの作用をTBA(thiobarbituric acid)法などにより肝細胞の脂質過酸化反応抑制の評価をして確認している(図3)。この研究は、昔から広く利用されてきた麹菌からの産生物を使うものであり、安全である為に食品添加物、化粧品添加物或いは適当な製剤を使用して薬品として利用できる。現在、抗酸化剤として使用されているブチルヒドロキシルアニソール(BHA)は発がん性が懸念され、又、ビタミン類等天然物由来の抗酸化物質は、資源的な面から量産するには限界があるものも多いという問題がある。日常食する食べ物から抗酸化物質を採取して健康な体を作っていくことができるのは素晴らしいことである。

平成12年に、生活習慣病やその原因となる生活習慣の改善等に関する課題について目標等を選定し、国民が主体的に取り組める新たな国民健康づくり運動として「21世紀における国民健康づくり運動」(以下「健康日本21」という) が策定された。 琉球大学の研究成果等も大いに参考にしていただき、食物、運動、環境等生活すべてを見直して、健康で質の高い生活(QOL)ができる長寿社会の再建を沖縄から発信していきたいものである。

国立大学法人琉球大学 産学官連携推進機構 知的財産部門 近藤義和
(TEL:098-895-8598 Email:kondoyos@lab.u-ryukyu.ac.jp)

※参考「琉球大学教員シーズ集」(http://www.u-ryukyu.ac.jp/coalition/kenkyu_kaihatsu/seeds/index.html )

図1:高齢化率の推移(H21高齢社会白書)

図2 死因別比較(平成20年人口動態調査)

図3 抗酸化性の評価

“亜熱帯特有”とっておきの知財(1)
「眠れていますか?」-《ぬちぐすい》沖縄の長寿再生の為に