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HOTな研究(2)


亜熱帯島嶼科学超域研究推進機構
特命助教
浅海竜司
Eメール:asami(at)lab.u-ryukyu.ac.jp

研究タイトル  : 「サンゴの骨から昔の地球環境を探る」

研究概要  :

「ハマサンゴ」という造礁サンゴをご存じですか?このサンゴは、骨(骨格)の年輪を造りながらドーム状に成長し、数百年もの長い間生き続けることがあります(図1)。骨は炭酸カルシウムからなっていて、そのなかには様々な元素が取り込まれますが、海の環境が変化するとそれらの元素の濃度や同位体比に違いが生じることが知られています。すなわち、骨の年輪に含まれる化学成分を調べることによって、昔の海の環境が年々どのように変わっているのかを知ることができるのです。我々のグループは、現生や化石のサンゴを用いて、現在〜過去数十万年前の地球環境の移り変わりについて研究しています。

図1-左 図1-右
図1:【左】巨大なハマサンゴの水中写真。直径約3mもあり、200年以上生き続けています。
【右】ハマサンゴの骨のレントゲン写真。縞々の年輪が一年一年にみられます(年輪幅はおよそ1cm/年)。

近年、地球は温暖化し、海は酸性化することが懸念されています。50年後、100年後、地球環境がどのように変わっていくのかを予測するためには、衛星や測器による気象観測が欠かせませんが、それらが飛躍的に整備されたのは過去数十年程度に過ぎません。すなわち、ハマサンゴは気象観測記録を遥かに遡る「長期海洋観測所」であり、産業革命の以前/以後〜現在までの海の変化を診断できる貴重なデータを提供してくれます(図2)。我々のグループは、サンゴの地球科学的なアプローチから、海の長期連続データを取得して新たな知見を得ることによって、地球温暖化や海洋酸性化などの将来予測の精度向上に貢献することを目指しています。

図2
図2:ハマサンゴから掘削した骨のコア試料のレントゲン写真と
高時間解像度の酸素同位体組成分析の結果(Asami et al. [2005]を一部改変)。
北太平洋熱帯域の海洋環境は過去210年間にわたって様々な時間スケールで変動してきたことがわかります。

さらに大昔の地球環境はどうだったのでしょうか?約260万年前〜現在までは「第四紀」と呼ばれ、地球は寒冷な氷期と温暖な間氷期を繰り返してきた時代です。その間、氷床は発達したり融けたりを繰り返していて、最終氷期の終わり(約2万年前)〜現在にかけて海水準が120mも上昇するなど、長い時間スケールでみると地球環境はとても大きく変化してきました。このような大昔の情報を得るためには、地球上に残されている「化石」を調べることが重要です。我々のグループでは、陸上堆積物や海底下に眠るサンゴ礁からハマサンゴの化石を採取して、それらの化学成分を詳細に調べる研究にも取り組んでいます(図3)。それによって、地球環境の変遷の歴史や気候変動のメカニズムをより長い時間スケールで理解できると期待されます。

図3-左 図3-右
図3:【左】DP Hunterによるサンゴ礁掘削(@IODP)。
【右】サンゴの化石から推定された過去約2万年の海水温変化(浅海 [2009]とAsami et al. [2009]を一部改変)。
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