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マルタ紀行(その2)

2017年06月19日掲載


マルタは、地中海のへそとか、ヨーロッパとアフリカの間の飛び石などと呼ばれているように、地中海の中央部に位置するミニ島嶼国家・マルタ共和国です。北方約90kmにイタリアのシチリア島、西方および南方約300kmにアフリカのチュニジアとリビアがあります。島の数は6島ですが、有人島はマルタ島とゴゾ島、コミノ島の3島だけです。外務省の資料によると、マルタの面積は316㎢、人口は約43万人(2016年)と小規模ですが、2016年の人口密度は1,373人とシンガポール、バーレーンに次いで世界第3位の高さです。

その人口規模や面積の小ささにも拘わらず、マルタはれっきとした独立国であり、2004年5月にEUに加盟し、地中海圏域ではもとより、欧州の中で大きな役割を果たしています。なお、世界には、マルタのようなミニ島嶼国家が数多くあり、国連では大国同様に一票の投票権をもっています。

ミニ島嶼国・マルタも生産力に乏しく、したがって輸出よりも輸入が超過するという構造をもっています。この輸入超過分は何かで穴埋めしなければなりませんが、マルタは主として製造業、観光収入と投資収益で充てています。15年ぶりのマルタが大きく変わったのは、これまでの食料品加工や造船、船舶修理が主だった製造業が、半導体部門でも成功していることでした。食料品加工では、国産(島産)ワインがグレードアップしていたのは、個人的には一番うれしいことでした。

船舶修理は、フリーポートであることとも関係しています。立地条件を生かしたフリーポートとしてのマルタは、外国貿易の拠点であると同時に、地中海を往来する船舶の補修・補給基地としての役割をも担っています。投資収益は、オフショア・バンキング機能を整備したことによるものです。フリーポート、オフショア・バンキング、カジノなどは、島嶼であることの特性を目一杯生かしたメニューです。

製造業が大きなウェイトをもっているのは、沖縄経済と違うところです。太陽エネルギーを十分に活用した有機農業も盛んであり、漁業はフイッシュ・ファーミングに力を入れていて、クロマグロの産地でもあります。つまり、モノをつくる物的生産力が相対的に沖縄経済より高いことが特徴です。規模は沖縄よりはるかに小さいマルタですが、自立の程度は沖縄より高いといえます。

マルタが独立したのは1964年であり、1974年に共和国になり、1979年に英国軍が完全撤退するまでは、英国軍が駐留し、文字通り基地経済でした。沖縄の復帰後の歩みと歩調を合わせるかのように、マルタは基地経済からの脱却・転換を図り、今日、それは成功したと評価できます。

 

このように、小さな島嶼国・マルタは、自立経済を当然のこととして、経済運営を行ってきています。それを可能にしているのが、独立国として自治権をもっていること、歴史遺産を現代に活かしていること、そして人的資源を有効に活用していること、の三要素です。マルタでは、有為な人材育成に力を注いでいることを付け加えておきます。マルチーズは、マルチ・リンガルな人が多く、マルタそのものがグローバル世界であることを痛感します。沖縄経済は、沖縄振興によってインフラ等ハード面の整備が45年近くも続いてきましたが、今後は、百年の計で人づくり(人材育成)に舵を切っていくことが必要だと思っています。

小さな島国ですが、生活者の視座からながめてみると、なかなか奥の深いマルタ経済です。マルタに限らず、島はそんな奥深さと不思議さをもった空間です。siesta(午睡)とfiesta(聖日祝祭)の好きなマルチーズ・ピープル。siestaとfiestaで英気を養いながら、マルタには島嶼経済社会の活力と不思議さをいつまでも保持してもらいたいと願いながら、15年前のマルタを思い出し、島とは何かを考えている島バカ人間の一人です。

マルタの港(2016年)