1. ホーム
  2. 大学の地域貢献と地方創生 ~地域貢献度のアップ~

大学の地域貢献と地方創生
~地域貢献度のアップ~

2016年3月7日 掲載


前回の学長通信で、地域貢献が大学の使命の一つであることについてお話ししましたが、今回は、それが本学にとっていかに重要かを歴史的背景から考えてみました。

琉球大学は、1950 年に設立されましたが、モデルとなったのは、米国の州立大学です。具体的には、研究普及部の設置などを通して地域に貢献する大学、すなわち Land Grant University(ランド・グラント大学。地域と大学が一丸となって地域発展に尽くしていくという考えにもとづく大学機能の一つ)としての機能整備でした。

大学設立の翌年に、本学へ5人のミシガン州立大学の教授団(ミシガン・ミッション)が派遣され、以後、1968 年までの 17 年間にわたり、延べ 51 人が草創期の琉大の運営に助言・指導を行いました。その一つが、大学の教育と研究の成果を地域に還元する「学外普及活動」の推進でした。

ランド・グラント大学の理念を実現するための取組として、1950~60 年代のほぼ 20 年間にわたり、研究普及部や那覇エクステンション・センターを中心に、小中高教員のための講習会、職業教育ワークショップ、通信教育、夜間講座などを開催して、県内の現職教員の研修や農業の復興等に尽力・貢献しました。普及活動は、当時の日本の大学には存在しないものであり、戦争によって灰燼と化した沖縄の地域復興のために大学の教育と研究の成果を還元する活動だったのです。本学における地域貢献の原点がここにあります。残念ながら、1972 年の沖縄の日本復帰とともに本学が国立移管となって以降は、地域貢献の取組が弱くなってしまった感があります。

大学の使命は、教育、研究、そして地域貢献の三つです。国立大学については、この三つの機能のどれに重点を置くかによって、三類型といわれる機能分化が図られました。これからは、大学の類型化は運営費交付金にも反映され、各大学の強み・特色を推進力とした機能分化が加速されることになります。琉球大学は、「主として、地域に貢献する取組とともに、専門分野の特性に配慮しつつ、強み・特色のある分野で世界・全国的な教育研究を推進する取組を中核とする国立大学」(通称「地域貢献タイプ」)の類型を選択しました。

大学の類型化は、大学のミッションの再定義にも反映されていますし、法人評価にも関係します。地方創生が叫ばれる中、大学の使命の一つとしての地域貢献が強調されていますが、琉球大学の場合は、ランド・グラント大学の原点に戻ることに尽きます。それゆえ、この選択は、本学にとっては、創立の精神に立脚したものでもあり、本学の地域貢献度をアップしていくことが当面の大学運営上の課題である、と認識しているところです。

本学の機能強化のための経営戦略としては、研究力をしっかり強化した上で、研究をトリガーとして地域や社会が求める教育や社会貢献を実践していくこととしています。そのために、研究推進機構、グローバル教育支援機構、地域連携推進機構を設置し、学内の企画・実施体制を整備・強化することにしました。

大学の地域貢献においては、学内体制の整備だけでなく行政や経済界との信頼醸成を図ることがとても重要になります。幸いにも、信頼醸成のプラットホームとして、沖縄産学官協働人財育成円卓会議があります。この円卓会議では、トビタテ!留学 JAPAN プログラムや学生のインターンシップ等を通した人材育成、及び子どもの貧困問題をはじめとする地域課題に取り組むことになっています。

具体的な活動としては、本学は文部科学省の補助事業である「地(知)の拠点整備事業(COC)」(平成 25 年度)と「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+)」(平成 27 年度)に採択されていますので、事業の趣旨を踏まえた人材養成カリキュラムの開発及び実施や、新産業・雇用の創出などにより、地域の中核的存在としての機能強化に取り組んでいます。

これらに加え、自治体や企業とのオープンなパートナーシップを構築し、中小企業支援、大学発ベンチャー支援、ヒット商品・サービスの開発、海外ブランド化支援、大交易会の側面支援等に積極的に関わり、行動するシンクタンクとして「地域とともに豊かな未来社会をデザインする大学」を目指し、地域貢献度アップに努めます。