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大学の地域貢献と地方創生

2016年2月17日 掲載


2006(平成 18)年の教育基本法の改正によって、大学に関する条文が新規に設けられました。それは、「第七条 大学は、学術の中心として、高い教養と専 門的能力を培うとともに、深く真理を探究して新たな知見を創造し、これらの成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとする。」という規定です。大学の使命(役割)が法律によって定められたのです。

改正教育基本法第7条は、大学は(1)学術研究、(2)教育(人材育成)、そして「これらの成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与する」(3)社会貢献をその使命とすることを明記しました。

法律に明記されなくとも、大学が学術研究や教育を使命とすることについては、異論をはさむ人はいないと思います。ただ、それこそが大学の使命だとの考えに馴染んできた人にとって、大学の社会貢献という点については、抵抗感があるようです。現に、大学(とりわけ国立大学)は学術研究を第一義とすべきだ、と主張する教授がいました。今でも、「産学官」という言葉に違和感を覚える学内の先生方が少なからずいると思っています。

2013(平成 25)年 4 月に学長に就任して、地域の自治体や経済界に挨拶に伺ったとき、複数の方から「琉大もやっと降りてきましたね」という言葉をかけられ、意外に思ったことがあります。それまで、琉大は学術研究というところに高く留まっていた、ということになります。大学の中では、研究を推進することが重要であり、行政や経済界と連携することが低くみられる風潮があったということです。

2012 年 12 月に成立した、第 2 次安倍内閣の主要政策の一つに地方創生があります(私自身、「地方」という言葉は好きではありませんが、そのまま使います)。その政策内容は、「まち・ひと・しごと創生」と総称され、2014(平成 26)年 11 月に「まち・ひと・しごと創生法」が成立しました。

その目的や基本理念によると、「人口の減少に歯止めをかけるとともに、東京圏への人口の過度の集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保して、将来にわたって活力ある日本社会を維持していくためには、国民一人一人が夢や希望を持ち、潤いのある豊かな生活を安心して営むことができる地域社会の形成、地域社会を担う個性豊かで多様な人材の確保及び地域における魅力ある多様な就業の機会の創出を一体的に推進すること」が、「まち・ひと・しごと創生」の内容になります。

戦後のわが国の国土開発は、国土の均衡ある発展という理念のもとで進められてきましたが、実際のところは東京一極集中に代表される集積が進むと同時に、他方では若者の流出による人口減少と高齢者比率の上昇による過疎化が進み、不均衡発展による地域間格差が顕在化しています。悩める地域が多く出現した、と言えます。

沖縄もまた悩める地域のひとつであり、国又は地方自治体が実施する「まち・ひと・しごと創生」に関する施策に、大学はどのように連携し協力していくことで地域貢献が果たせるのか、を真剣に考えるべきときに来ています。とりわけ、県内の子どもを育てている世帯の約 37%が貧困に陥っているという状況においては「子どもの貧困」問題に自治体と大学がどう関わっていくか、は重大かつ喫緊の課題と言ってよいでしょう。