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年頭の挨拶2017

2017年1月4日掲載


1.2017(平成29)年の重要性

新年、明けましておめでとうございます。酉年2017年の希望に満ちた新年をご家族お揃いにてお迎えのこととお慶び申し上げます。今年もすべての教職員と学生の皆さんにとって、幸せ多い佳き一年となりますようお祈りいたします。

平成29年酉年は、季節的に言えば稔りの秋、これまでの努力が結実する年になると思います。大学としては、第3期中期目標期間(平成28年度~33年度)の2年目に入ります。次期学長予定者として信任を受け、これまでの4年間の実績をベースに、次の2年間で創立百周年となる2050年を見据えて、経営基盤の強化を重点に据えて、本学の教育研究・社会貢献機能を強化するための有効な施策を展開していきます。

私が学長に就任した平成25年度から27年度までの3年間は、「国立大学の改革加速期間」として設定され、大学改革の荒波の真っ只中に放り込まれました。各国立大学の有する強み・特色や社会的役割を踏まえた機能強化への取組が強調され、ご承知のとおり、本学は「地域活性化の中核的拠点」大学となることをミッションとして、いわゆる「重点支援1」を選択しました。各国立大学のこのような選択は、国民の皆様にも広く公表されたところです。

「国立大学経営力戦略」(平成27年6月16日、文部科学省)は、「我が国を取り巻く社会環境は急激な変化を遂げ続けており、日本社会は世界でも類を見ない大きな構造転換の必要性に迫られている。」という課題認識をしています。そして、逼迫する国家財政を背景として、「国立大学は、法人化のメリットをこれまで以上に生かし、闊達な教育研究とそれを通じた積極的な社会貢献を十分に意識し、新たな経済社会を展望した大胆な発想の転換の下、新領域・融合分野など新たな研究領域の開拓、産業構造の変化や雇用ニーズに対応した新しい時代の産業を担う人材育成、地域・日本・世界が直面する経済社会の課題解決などを図りつつ、学問の進展やイノベーション創出などに最大限貢献できる組織への転換等を自ら押し進めていくことが求められる。」と指摘しています。

すなわち、第3期中期目標期間では、自ら改善・発展する仕組みを構築することにより、持続的な競争力を持ち、高い付加価値を生み出す国立大学への転換を推進していくような内容を持つ大学改革の本格的展開が求められています。したがって、稔りの秋としてそれなりの成果を得るには、教育研究・社会貢献機能を強化していく経営基盤を確立しつつ、高等教育機関としての質保証や国際通用性の向上を目指した持続的な改革を推し進めていくことが不可欠となります。

2. 2016(平成28)年の取組

平成28年度は、国立大学法人にとって第3期中期目標期間のスタートの年でした。本学では、将来ビジョンに基づいた改革を迅速に実現するため、第3期に向けて設定した4つの戦略(教育、研究、地域連携、地域・国際医療拠点)の達成を目指して、各部局及び各機構における取組が進められています。平成27 年度に係る業務の実績に関する評価では、全ての項目で「順調」という結果を得ており、これらの前向きな活動によって本学の機能強化が確実に進捗していると、国立大学法人評価委員会から認められています。

全学的取組

学内において教育研究への支援をより効果的なものとするため、第2期までの「中期計画達成プロジェクト経費」「教育研究等アメニティ改善経費」を「戦略的重点配分経費」として組み替えるとともに、引き続き学長特別政策経費を確保し、本学の強みとなる教育研究分野を戦略的に支援することとしました。さらに、予算傾斜配分の仕組みを取り入れ、各部局の取組の成果を評価し、業務の改善及び活性化につなぐシステムを構築しました。

研究推進

研究支援体制の更なる強化のため、機器分析支援センターと極低温センターを統合して、平成28年10月1日に研究基盤センターを設置しました。また、文部科学省が公募した「平成28年度先端研究基盤共用促進事業(新たな共用システム導入支援プログラム)」として、九州地区で唯一本学が採択されました。採択期間は3年間であり、平成28年度は約4,000万円の委託費により実施しております。本事業の内容は、研究基盤センターが導入しているFelicaカードによる機器管理の仕組みを、医学部・農学部・理学部・熱帯生物圏研究センター・戦略的研究プロジェクトセンターの機器に導入し、共用化する事業です。

この事業については、1ヶ月弱という非常に短い公募期間でありましたが、事前の情報収集に基づき、研究基盤センターが培ってきたノウハウを研究企画室が中心となって調整・申請し、採択されました。採択後も、研究企画室に所属する担当URAが、積極的に関連部局と連携及び業務の推進を行っています。今後、このような事業申請の仕組みを全学的に定着させ、競争的資金の獲得増をねらいたいと考えています。

平成26年度から、本学が特色とする研究分野(島嶼・海洋研究、熱帯・亜熱帯研究、琉球・沖縄研究、健康・長寿研究)において、強みとなる研究をより大きく展開するため、6つの学長リーダーシッププロジェクト研究を実施してきました。平成28年度は、前年度末に研究企画室が実施した「地域ニーズ調査」に基づいて、7つめの学長リーダーシッププロジェクト研究を選定しました。地域ニーズ調査は、沖縄県内ならびに本学と包括連携協定を締結している奄美諸島の全市町村を対象に、解決が望まれる地域課題や地域の発展に資する開発研究など、地域社会が琉球大学と協働で取り組みたい研究ニーズを把握することを目的として行われたものです。

地域連携

COC事業として、文部科学省の補助事業である平成25年度の「ちゅら島の未来を創る知の津梁(かけ橋)」事業と平成27年度の「新たな地域社会を創造する未来叶い(ミライカナイ)」プロジェクトを推進しております。これまでの成果は、那覇市、宮古島市、石垣市、久米島町、大宜味村及び国頭村にサテライトキャンパスを設置し、地域の学びのコミュニティの推進や、地域における雇用の創出、若者の定着を図るため、上記の6市町村と連携協定を締結しました。大学の持つ資源を有効活用し、更なる地域社会への貢献・発展に寄与できるよう、全学を挙げて取り組んでまいります。

平成28年4月に全学的な地域貢献活動を推進するため、産学官連携推進機構と生涯学習教育研究センターを統合し、地域連携推進機構を設置しました。本機構の設置により、学内外と地域連携に関する協働体制を構築し、総合的な窓口を設け、地域からのニーズに対しよりきめ細やかに対応できるよう、体制整備を行いました。また、沖縄産学官協働人財育成円卓会議と連携し、産学官民協働による地域人材育成プログラムの開発を進めております。本学は、沖縄における地域創生や地域イノベーションの推進に向け、「アクティブシンクタンク」として機能発揮することとしております。

沖縄産学官協働人財育成円卓会議の協力・支援を得ながら、グローバル人材の育成にも力を注いでおります。その具体事業である文部科学省補助事業「トビタテ!留学JAPAN地域人材コース」を通じて、一昨年から本学の学生をアジアへ派遣しております。昨年は、本学から4名の学生がフィリピンなど3カ国へ派遣されました。

平成26年度に、県内の11の高等教育機関で構成する大学コンソーシアム沖縄が設立されました。本学もその一員として、シンポジウム、学生サミット、各大学持ち回りの県民向け公開講座、子供科学人材育成事業に協力してまいりました。昨年は、沖縄県における子どもの貧困対策として、子どもの居場所学生ボランティアセンターを設置し、その運営にも主導的な役割を果たしてきました。

国際連携

国際共同研究の促進や留学生受入・派遣の拡大を目的として、海外拠点設置を進めることとしていますが、昨年5月に沖縄県産業振興公社台北事務所内に琉球大学台北サテライトオフィスを設置しました。また、米国ハワイ州イーストウェストセンターとの相互協力、学術連携の推進、ハワイと沖縄の学術機関との学術交流の促進を目的として、昨年10月に本学とイーストウェストセンターとのリエゾンオフィス相互設置に関する覚書を締結しました。今後はこれらの海外拠点の活用により、台湾、ハワイとの学術連携や教育交流の促進に努めるとともに、アジア・太平洋の他の地域にも海外拠点を設置し、国際的な学術連携・教育連携の拡大を目指します。

文部科学省による「住環境・就職支援等留学生の受入れ環境充実事業」では、沖縄県内の高等教育機関や地方公共団体、地域の経済団体等の連携機関が一体となり、外国人留学生を対象にした就職支援に取り組んでいます。日本企業における優秀な外国人材の確保に貢献し、更には外国人留学生の留学促進を目指します。

外部資金

平成28年4月に琉球大学基金を開設するとともに、10月には基金室を設置し、平成29年には、開学70周年記念事業に向けた寄附金の募集を行っていく予定です。また、平成28年4月、琉球大学岸本基金を設立しました。琉球大学岸本基金は、地球環境保全に向けた教育・研究活動やグローバル人材育成などへの支援を目的としたもので、2029年まで毎年20~50万ドルを基金元金に積み増しし、最終的には583万ドル(約7億円)の基金となる予定です。この琉球大学岸本基金は、同窓生個人が創設されたことに加え、基金が米国で管理・運用され、その運用益が本学への寄附金として入ってくるシステムとなっていることから、国内でも非常に例の少ない大変ユニークな仕組みになっています。

施設整備

平成26年度に完成した上原キャンパスの特別高圧受変電設備に引き続き、平成27~28年度概算要求で認められた、千原キャンパスの特別高圧受変電設備が完成し、昨年末、特別高圧に無事切り替えが終了しました。これにより、停電のおそれの解消、また風雨や塩害等の気象条件による老朽化対策や停電頻度の低減が図られ、災害時も含めた電力の安定供給が可能となり、教育研究環境のさらなる向上が実現しました。

国際医療拠点形成

平成26年春に動き出した西普天間住宅跡地への医学部及び同附属病院の移転計画は、平成27年4月に学内に移転推進室が設置され、この推進室を中心に平成27年度は基本構想を策定し、本年度末に「琉球大学医学部及び同附属病院移転整備基本計画」を策定予定です。並行して、昨年(平成28年)11月より、琉大用地の買取(宜野湾市土地開発公社による先行取得)を開始しました。

部局の取組

大学院法務研究科では、平成28年度に那覇市との間で「性の多様性の尊重」について連携・協力に関する協定を締結しました。また、沖縄銀行、琉球銀行、沖縄債権回収機構の各社とは、学修支援等についての連携・協力に関する協定を締結し、リーガル・アシスタント等各社から受けている学修支援を一層広く、永続性のあるものに整備しました。さらに、九州大学・熊本大学・鹿児島大学の各法科大学院と結んでいた従来の九州・沖縄四大学教育連携に加えて、首都圏の中央大学法科大学院ともICTを活用して講義の相互配信などを軸とした、互いの強みを生かした教育連携のための協定も締結しました。

教育学部ではミッションの再定義に従って組織改革を進めているところです。その中で、沖縄県教育委員会等との緊密な連携に基づいて教職大学院の設置を先ず行うこととし、その教職大学院を平成28年4月に開設しました。引き続き歩みを止めることなく、生涯学習教育課程の廃止を含め、義務教育に特化した教員養成教育課程へ大きく舵を切り、資源の再配分も含めた改組に取り組んでいます。

理学部においては、昨年、国際化展開を推進しました。台湾の中国文化大學との学術協定の締結(7月)、インドネシアのシアクアラ大学水産学部との学術協定の締結(10月)、インドネシアのバンカ・ブリトゥン大学との国際協定締結に関する協議(11月)を行いました。また、地域特性を活かした国際的な研究を展開しました。理学部海洋自然科学科教員が、科学技術への顕著な貢献が認められ「ナイスステップ研究者」11人に選定され、文部科学大臣より表彰されました(1月)。同じく海洋自然科学科教員が、沖縄の学術振興への貢献が認められ「沖縄研究奨励賞」を受賞しました(1月)。

医学部では、西普天間国際医療拠点構想の先導事業「沖縄バイオインフォメーションバンク構想」を開始するとともに、医学生シムリンピックで琉大生チームが全国優勝を果たしました。再生医療の提供開始(平成28年3月)、熊本震災へのDMAT・JRAT派遣(4月・6月)等も行いました。

平成28年5月、附属図書館本館(志喜屋記念図書館)がリニューアルオープンし、学修環境が大幅に改善されました。学生が主体的に問題を発見し解を見いだしていく能動的学修(アクティブ・ラーニング)のベースとして、ラーニング・コモンズは学生のより自発的な学修や実践の新たなる場として活用されています。附属図書館における学修支援の拡充として、これまで附属図書館に設置されていた学修相談窓口を、ティーチング・アシスタント(TA)による修学支援に位置付けました。今後は、指導教員との連携のもと授業外学修等の教育支援業務として、大学院学生へのトレーニング機会の提供と学部教育のさらなる充実に資するものと期待しています。

附属図書館と博物館(風樹館)が、鹿児島県瀬戸内町立図書館・郷土館との共催により企画展「奄美群島の自然とくらし」を瀬戸内町立図書館・郷土館で平成28年11月15~27日に開催しました。毎年の学外貴重書展としては第16回目となりますが、久米島(平成26年)、宮古島(平成27年)に続く島嶼部で沖縄県外では初めての開催となりました。通常一般公開をしていない附属図書館所蔵の写真資料パネルや博物館(風樹館)所蔵の剥製などが展示され、複数の講演会やギャラリートークも行いました。これらは、本学の教育・研究資源を地域社会へ還元する継続事業であり、長きにわたり地域の人々の学ぶ意欲を支えてきた貢献事業です。

附属図書館では、これまで劣化・損傷のため未公開状態にあった琉球・沖縄関係古文献資料の原本を修復・保存した上でデジタル化し、大学資源=社会的資源とみなして、デジタルアーカイブとして国内外に公開してきました。その中でも現在継続中のハワイ大学マノア校図書館との連携事業であるハワイ大学所蔵「阪巻・宝玲文庫」プロジェクトは、本学の特色ある事業として国内外で高く評価されています。

広報力の抜本的強化を図るため平成28年7月1日付で広報戦略本部を設置し、ユニバーシティ・アイデンティティ(UI)の検討に着手しました。広報力を強化して、地域の方々の意見や考えを集めながら、琉大の今をよく知って頂いて、お互いの親密度を高めていく。それと同時に、地域の方々からの寄附等を含めた有形無形の応援を経営基盤に取り込んで、地域に貢献する大学として地域と共に発展していくというメッセージを、2020年の開学70周年に向けて鮮明に発信していこうと考えています。

3.2017(平成29)年の挑戦

次に、第3期に取り組む戦略の中から平成29年(度)の実施事項について、特に教育と国際化、そしてそれらに関連深いものを中心にいくつか列記いたします。

組織改革

平成29年4月1日に教育学部・工学部・農学部の学部改組が行われる予定の他、法文学部・観光産業科学部についても平成30年4月1日改組を目指して検討を進めています。大学院については平成27年度に開催された大学院改組構想タスクフォースで検討がまとめられた3系(人文社会科学系、自然科学系、医学系)への改組方針を踏まえた上で、まずは①「人文社会科学・観光科学・教育学系の研究科の統合」、②「研究科横断的な共通科目、分野横断的・実践的プログラム、副専攻等の具体化」の2点を優先的に達成していくよう提案されました。これら改組案件は、より一層の教育研究の充実を通して本学の機能強化を図るために、全学を挙げて取り組むべき重点事項でありますので、ご協力をお願いいたします。

工学部では、平成29年4月1日付で既存の4学科から1学科7コース体制へ教育組織の改編を行います。新たな教育システムでは、各研究分野に跨る亜熱帯島嶼性という地域特性、自然特性、歴史・文化特性に基づいた工学に関連する教育と研究をさらに深化させ、情報通信関連産業、製造業、建設業、電力産業などの分野での新たなビジネスモデルの展開や国際物流、資源開発及びエネルギー産業などの新産業の展開推進など、新たな価値の創造へとつながる展開とグローバル化に対応した人材の育成を目指します。

認証評価

平成29年度に本学は機関別認証評価を受審することとなっています。近年、大学教育において重視されている「内部質保証」の基礎的な部分を評価する重要なものであり、大学として具備すべき基本的な要件となっています。大学の根幹である「教育」を法人としてどのように維持向上させているのかが評価されるものであり、国際的な高等教育の質保証の流れや国民への説明責任という側面をしっかりと意識しつつ、大学を挙げて取り組む必要があります。

医学部では、医学教育分野別評価受審への取り組みを開始し、平成29年12月受審予定です。

評価IR機能

本学は、第3期中期目標期間において、IRの強化・定着を大学マネジメントの機能強化の重要事項として位置づけております。その一環として、平成28年度より、毎年度の業務実績評価及び中間・最終の法人評価へ向けた進捗状況のモニタリングを強化する取組の開始と「中期目標・中期計画管理システム」のWEB化を行ったところです。その主旨や仕組みを全学へより早く浸透させつつ中期計画を達成していくため、皆様のご理解と主体的かつ積極的な教育研究・社会連携活動への参画を今まで以上にお願いするところです。また、中期計画の指標及び重点支援の4つの戦略で設定した指標の中から、特に重要な指標をKPIとしてダッシュボード化することによって、大学運営のモニタリングも併せて行う予定です。

グローバル教育支援機構

グローバル教育支援機構では、①高大接続システム改革を受けた琉球大学にふさわしい入試改革の実施、②太平洋島嶼地域からの編入学を基盤とした教育連携体制の構築、③グローバルプログラム津梁による多様性・協働教育を軸とした新たな教育プログラムの実施の3事業を第3期中期目標・中期計画の教育の柱として掲げております。平成29年は戦略的に推進することとし、①入試改革(高大接続改革)、②太平洋島嶼地域からの特別編入学に向けた活動、③多様性・協働教育(外国語教育・異文化体験の体系的・有機的な学び、外国人留学生との交流を通じて多様性を受容し協働する精神及びスキルを育成する教育プログラムを構築・実施)に取り組みます。

また、学生の学修成果や地域・国際性を向上させるための教育内容や教育方法等の充実強化に注力します。具体的には、学内連携はもとより海外大学や産学官連携による多様な協働教育の実践、留学やインターンシップ等の学外学修機会の拡大、地域創生科目の拡充、これらの取組を効率的に実施できる体制や環境の整備、ルールづくりを推し進めます。

国際戦略本部

平成28 年、企画経営戦略会議の下に設置したワーキングの答申を受け、既存の全学的3機構(グローバル教育支援機構、研究推進機構、地域連携推進機構)を横断し、機動性が高く、戦略的かつ積極的な国際連携及び国際交流の展開を図る組織として「国際戦略本部」を設置します。国際戦略本部は、海外拠点の設置、受け入れる外国人留学生の増加等の国際連携及び国際交流に関する目標達成や課題解決のため、必要に応じたメンバーを招集し、具体策を検討する仕組みを有します。これにより、教育、研究、地域連携の分野間、事務担当部署間の垣根を越えた本学の活動全体のグローバル化を機動的に推し進めます。

修学支援

近年の学生を取り巻く社会状況に鑑み、本学では、授業料の免除に関し、基準額緩和を予定しています。現行では、家計収入基準を500万円未満の学生を対象としていますが、これを550万円未満に引き上げ、現行より多くの経済的困窮学生の救済を平成29年度前期分から実施を予定しています。

学部・研究科

教育学部では、生涯教育課程の廃止に伴い、教員養成機能に特化した組織改編を行います。その学部改組を平成29年4月に行う予定です。教育学部の組織改編は、他学部の改組のスプリングボードとなっています。

理学部においては、地域特性を活かした国際的な研究を展開として、平成29年より、37年ぶりに航空機を使って台風を直接観測する大規模プロジェクトが始動します(平成29年より5年間)。地球温暖化に伴って大型巨大化する台風のメカニズムが解明されることが期待されています。

医学部保健学科では、平成29年度から本学独自の多様な学事暦に対応する一つの方策として2学期制の前学期及び後学期の授業期間をそれぞれ前半と後半に分けて授業を行う科目「クォーター科目」を設定します。クォーター制導入については、本学の第3期中期計画にも盛り込まれており、本学での学科単位での導入は医学部保健学科が初めてのケースとなります。

国際医療拠点形成

国際医療拠点形成構想の実現については、平成36年度末を目処に、医学部及び同附属病院を宜野湾市(平成27年3月に返還されたキャンプ瑞慶覧(西普天間住宅地区))に移転予定です。平成29年度から移転推進室とともに施設運営部が主体となって基本設計を策定していく計画です。この基本設計は今まで同様、文科省や内閣府あるいは沖縄県や宜野湾市及び関係民間団体等、関係機関との調整を図ると共に、その後の実施設計や整備着手を見据えながら進めていく予定です。医学部および同附属病院の移転について、国際医療拠点に相応しいキャンパス整備を目指し、全学を挙げて取り組むため、皆さまのご協力をお願いいたします。

4.長期ビジョン実現に向けた挑戦

私は、この4年間、「琉大創生プラン」に基づいて大学運営を行ってきました。次の2年間は、琉球大学の創立百周年となる2050年を見据え、国立大学が果たすべき役割は何かを改めて考え、本学の目指すべき長期目標を実現する手立てとして「琉大共創プラン」を提示しました。この「琉大共創プラン」は、第3期中期目標・中期計画を補強するもの、すなわち毎年度の年度計画を策定する時の柱となることを意図したものです。このプランを作成するに当たっては、これまでの4年間の実績と反省に基づき、なおかつ政府の国立大学改革関連の考え方やプラン等を踏まえて、私なりに琉球大学の機能強化を実現するための方策としてまとめました。

知識基盤社会の中核的拠点としての国立大学が、産業構造の変化や社会のニーズに対応した新しい時代を担う人材育成、重要な学問研究の継承・発展、新領域・融合分野など新たな研究領域の開拓、闊達な教育研究を通じた地域活性化による積極的な社会貢献、全国的な高等教育の機会均等の確保など、多様な役割を担うことが期待されていることを、私をはじめ本学の誰もが再認識するべきだと考えています。

一連の大学改革の流れの中で、琉球大学は第3期における機能強化の方向性として、「地域に貢献する取組とともに、専門分野の特性に配慮しつつ、強み・特色のある分野で世界・全国的な教育研究を推進する取組を中核とする国立大学」の枠組みを選択し、地域貢献型大学としての機能強化を図ることとしました。

これは、本学の創立以来の伝統であるLand Grant Universityの理念に合致するものであり、新たな長期ビジョンとして、これまでの「アジア・太平洋地域の卓越した教育研究拠点大学」に加え、「地域とともに豊かな未来社会をデザインする大学」を定め、沖縄振興をはじめとする地域の活性化、産学官連携による産業振興、地域完結型医療体制の構築、生涯学び続ける学習者の支援、子供の貧困への積極的関与など、地域課題解決のための産学官共創体制を維持・強化してまいります。

この4年間で、遅まきながら他大学に追いつくまでに改革を進めることができましたが、大学改革の途はまだまだ途上であると感じています。今回提示した私のビジョンである「琉大共創プラン」では、経営基盤強化を中心に据えております。大学マネジメントの要諦として、経営基盤の強化を中心に六方へ広がる、教育改革、研究推進、地域貢献、国際連携、職場環境整備、国際医療拠点形成に関する具体的な施策を着実に実施していきます。将来を見越して、今は種を蒔き、苗を植える時だと認識しております。皆さんのご理解とご協力をよろしくお願いいたします。

琉大共創プラン

むすびに、大学改革はそもそも何のために行うのかという本筋を忘れてはいけません。世界で一番貧しい大統領と呼ばれた南米・ウルグアイの第40代大統領のホセ・アルベルト・ムヒカ・コルダノ氏の言葉を引いて、年頭挨拶の締めにします。 「本当のリーダーとは、多くの事柄を成し遂げる人ではなく、自分をはるかに超えるような人材を残す人だ。」

2017(酉)年1月4日
第16代学長  大城 肇

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